宝富士 恩師の命日に追悼勝ち越し 天国の近大・伊東監督へ「勝たせてください」

 「大相撲初場所・10日目」(18日、両国国技館)

 平幕宝富士が一山本を押し出しで破って2敗を守り、平幕一番乗りで勝ち越しを決めた。20年1月18日に55歳で急逝した近大相撲部の恩師・伊東勝人監督にささげる白星を挙げた。全勝だった関脇御嶽海は北勝富士に敗れて初黒星。横綱照ノ富士は阿武咲を寄り切り、1敗でトップに並んだ。平幕阿炎も隠岐の海を押し出し、2敗を守った。

 恩師への強い思いが、宝富士の全身に力をみなぎらせた。「何が何でも勝ち越せるように。絶対に今日決めようと思ってました」。一山本のもろ手突きを下からあてがうと、重い腰で後ろに下がらない。嫌がった相手のはたきに乗じ、すかさず攻めて押し出した。

 自身の相撲を作ってくれたのが、伊東監督だった。大学時代は左半身になる形が多かったが「それだと不利になる」と右の使い方を教え込まれた。宝富士は「今もそれは生きている」と感謝する。

 監督が天国に旅立って、ちょうど2年。「『今日は勝たせてください』、『力を貸してください』と心の中で思ったりもした。いつも的確なアドバイスをいただいていたので」と取組前の心境を明かすと「いい報告ができる」と頬を緩めた。

 10日目までの勝ち越しは20年11月場所以来自身6度目。2月に35歳になるが、まだまだ元気だ。回復に時間を要したり、稽古の番数を取れなくなったりした分は「稽古でどうやって工夫してやるか。一番一番、質を上げていかないと」と考えてカバーしている。

 トップとは1差。伊勢ケ浜審判部長(元横綱旭富士)は「前に出て落ち着いている。阿炎と宝富士がどれだけ食らいついていけるか」と期待を込めた。「一番一番取っていきたい」と宝富士。ベテランがV戦線を盛り上げる。

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