内村航平 蹴上がり「覚えた時の感動は忘れられない」誇れるものは「着地」【一問一答】

 質問に笑顔で答える内村航平
 男子個人総合決勝 鉄棒で着地した内村航平=2016年8月10日、リオデジャネイロ(共同)
 鉄棒の演技でブレトシュナイダーを決める内村航平=2020年11月9日
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 体操男子個人総合で、五輪・世界選手権を合わせて8連覇を成し遂げた内村航平(33)=ジョイカル=が14日、都内で引退会見を行った。約30年間に及んだ競技人生を振り返り、「栄光も挫折も経験できた」と胸を張ったキングは、体操への熱き思いを語り、今後は普及などに尽力していく考えを示した。以下は一問一答。

  ◇  ◇

 -体操の中で最もこだわったもの、誇れるものは。

 「着地です。世界チャンピオンとして、オリンピックチャンピオンとして着地を止めるのは当たり前のことだと思ってやってきた」

 -(昨年の北九州での)世界選手権での演技を振り返って。

 「決勝で着地を止めて終わりたいという気持ちで演技をして、それをやりきれた。結果は伴いませんでしたけど、これが体操だ、本物の着地だと、僕らしい所を最後見せられたと思う」

 -五輪を一言で言うと。

 「僕にとっての五輪は、自分を証明できる場所。世界チャンピオンになり続けて、果たして自分は本物のチャンピオンなのかと疑い続けて、五輪でしっかり証明することを2回もできた」

 -東京五輪を目指した5年間は。

 「リオ五輪以降は、練習が急に思うようにいかなくなって。本当にいろいろ工夫した。リオ五輪までとはほど遠い結果でしたけど、体操を突き詰めていく所で考えると、一番濃い5年間だった。栄光も挫折も経験できた」

 -自身の名前がついた技を残せなかったことについて。

 「やっていたら確実に『ウチムラ』と名前がついていた技はある。個人総合でトップを維持するために、必要なかったのでやらなかった。自身の名前のついた技がない状態で引退を迎えたけど、逆にそれもありかなと。それだけ自分が個人総合を誇りに思ってやってこられた証明にもなる。技名を1つ残すよりもすごいことを僕はやってきた。それはそれで、そこに誇りを持てている」

 -後輩たちへの思いは。

 「『体操だけうまくてもだめだよ』と伝えたい。結果を残していく中で、人間性が伴ってないと誰からも尊敬されないし、発言に重みがない。大谷翔平君も羽生結弦君も人間としての考え方がすばらしいと思うからこそ、国民の方々から支持されて、結果も伴う。そういうアスリートが本物なのかなと」

 -今まで覚えてきた技の中で最も印象に残っている技は。

 「一番楽しかったのは『蹴上がり』という技。小学校1年かちょっと入る前で、覚えた時の感動は今でも忘れられない。あれが(技を)500ぐらい覚えられた原動力。印象に残っている技はあと2つあって。リ・シャオペンとブレトシュナイダー。リ・シャオペンは今まで習得してきた技の中で、一番難しかったし、一番動画を見る回数も多かった。ブレトシュナイダーも同じで、本当に試行錯誤を重ねてあの領域までいけたので。1つの技に対してそこまで追い求められるからこそ、質とか成功率も高いんだろうなと」

 -内村さんと言えば、(お菓子の)『ブラックサンダー』が好きで有名だが、今日の会見前に食べた勝負飯は。

 「ブラックサンダーは勝負飯じゃない。お菓子だから、飯じゃない。今日の会見を勝負とは思っていないので。そもそも僕は1食しか食べない。だから食べてない、朝。水ですね。勝負水です。勝負水で今日やらせていただいている」

 -今後について。

 「これを絶対にやりたい、みたいなことはない。日本代表選手、後輩たちに自分が経験したことを伝えたり、小さい子供たちに普及活動をしたり。体操に関わる全てのことをやっていけたら」

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