失意の東京五輪を超え 内村航平 競技への思いつなぎ止めた「細い一本の糸」

 鉄棒の演技をする内村航平
男子種目別鉄棒で7位だった内村航平
2枚

 「体操・全日本シニア選手権」(23日、酒田市国体記念体育館)

 鉄棒に絞って挑んだ東京五輪で予選落ちに終わったロンドン、リオデジャネイロ五輪個人総合2連覇王者の内村航平(32)=ジョイカル=が再起戦に臨み、14・133点で7位だった。H難度ブレトシュナイダーなど離れ技はすべて成功させたものの、着地後に後ろに倒れ込み、大幅に減点。ただ、失意を乗り越え、復活への光明を掴んだ。男子個人総合は東京五輪代表の萱和磨(24)=セントラルスポーツ=が3連覇を達成。男子団体は徳洲会が5大会ぶりの優勝を飾った。

 失意の東京五輪からの再出発。内村は離れ技をすべて成功させ、五輪で落下したひねり技も成功。まとめきったかと思われたが、代名詞の着地を止めきれず後ろに倒れ込んだ。

 結果は7位。ただ、表情に陰りはなかった。着地については「プロテクターと鉄棒が滑り、空中分解しかけた。足から着地できたのが奇跡」と、冷静に分析。前日会見では全関節の痛みを告白し、「ハンバーガーも食えない」と話した満身創痍な状態だった。この日も「キレがないし、体感も重かった」としつつ「(来月の)世界選手権に向けてという意味では僕の中で結構手応えはあった。体の状態が悪くて、気持ちもいまいち上がらない中で試合ができて、ようやくスイッチが入った」とうなずいた。

 「体操人生の中で1番大きな出来事」という東京五輪での失敗。「精神的にかなりしんどかった」。ただ、競技への思いだけは揺るがなかった。「気持ちだけは切らさないように、細い一本の糸を繋いできた。それが今日やってちょっとずつ太くなった気がする」。生まれ故郷の北九州で開催される10月の世界選手権。再び世界一に返り咲くチャンスがくる。「世界選手権に向けて、もっと糸を太くしていって、シンプルにいい演技がしたい」。紡がれ始めた糸が新たな夢を描き出す。

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