ボクシング金候補・並木月海&入江聖奈、しずちゃんと五輪目前座談会!競技への思い語る

 並木月海
 入江聖奈
 東京五輪アジア・オセアニア予選でともに準優勝し、五輪切符を手にした並木月海(左)との入江聖奈=2020年3月11日、アンマン(共同)
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 東京五輪では、ボクシング女子フライ級の並木月海(22)=自衛隊、フェザー級の入江聖奈(20)=日体大=の2選手が日本女子として初めて五輪のリングに上がる。2012年ロンドン五輪を目指し、日本ボクシング連盟女子強化・普及委員を務めるお笑いコンビ、南海キャンディーズの「しずちゃん」こと山崎静代さん(42)と、国際大会で実績を積んで金メダルを目指す2人がオンライン座談会を開催。本番を前に、熱いガールズトークが繰り広げられた。

 ◇  ◇

 並木「女子ボクシングにパッと光を当ててくれたのがしずちゃん…しずちゃんとお呼びしていいですか?」

 しずちゃん「もちろん!」

 並木「高校1年で全日本(選手権)で優勝した時に一緒に写真を撮ってもらいました」

 入江「テレビの向こうで輝いている人が五輪に向けて頑張っておられて、刺激をもらいました。偉大な先輩だと思っています」

 しずちゃん「私が何をしたわけではないけど、先輩だと思ってくれていたなんてうれしい。あの時はいっぱいいっぱい。でも、何かが伝わっていたんだなと今思いました」

 並木「五輪は自分たちが日本女子初かもしれないけど、それ以前に先輩たちがさまざまな大会で歴史をつくってくれた。その上で自分たちは今回五輪に出られると思ってます」

 入江「アジア大会で銅メダルを取った新本(亜也)さん、世界選手権で銅メダルを取った和田(まどか)さんらと実戦練習をして、世界に通用する人のすごさを身にしみて感じました。先輩方の背中を追いかけてがむしゃらにやってきた。追いかける背中があるのはありがたかった」

 -ボクシングを始めたのは。

 しずちゃん「私は最初、趣味から始めたので、試合形式のスパーリングに初めて出た時に『そうか、試合って殴ってくるんや』ってびっくりして。私は練習の成果を出そうと思ってリングに上がったら、向こうは“殺す”という気迫があって、押されっぱなしで」

 並木「私は幼稚園から空手をやっていたのでパンチへの恐怖心はほとんどなくて。ただ中学に入る時に空手とキックボクシングを一度やめました。毎日練習だったので普通の女の子として過ごしたいって。でも、1年足らずでやはり何かしたいとボクシングに」

 入江「私は小学2年でボクシングを始めた時に、お母さんから女の子だから殴り合いはしないでほしいと言われたけど、お父さんがお母さんに秘密でジムに入会させてくれて」

 -そこまで打ち込める競技の魅力は。

 しずちゃん「当時は今までないほど自分を追い込むことができた。本気で向き合っているからその時の自分も好きになる。好きな自分を見つけられた、すごく尊い時間でした」

 並木「自分は人見知りで前に出るのも好きじゃないけど、リングに上がると違う自分が出せる。そういう魅力を感じているかも」

 入江「私は不器用で人がすぐできる技術も時間がかかる。だからこそこつこつと努力を続けてこられたのかなと。不器用な自分も嫌いじゃなくなった」

 しずちゃん「まさに私もパッと何でもできるタイプじゃない。いろんなことをできないで生きてきたから、ボクシングをやった気がします。必ずしも器用だから強いというわけじゃなく、違うところで自分をカバーしていくのがボクシングだという気がして」

 -可能なら東京五輪に挑戦したかったか。

 しずちゃん「(引退時は)もう無理と思ってやめたから。でも、東京五輪で(年齢が認められれば)可能性は0じゃなかったかも」

 並木「0%じゃないってすごい。それだけ魅力があるんですね」

 入江「聞きたいことがあって…。注目されて結果も出さないといけない場所におられたと思いますが、そういう時の対処法はどうされましたか。自分も結果を求められるし、結果を出したいので」

 しずちゃん「何やろなあ。一番緊張したのはお笑いの先輩も来てくれた後楽園ホール。私の試合が“大トリ”で、どうやって逃げようかずっと考えてた。でも、逃げたいのを超えたら開き直りに至って、じゃあ行きましょうって。やってきたことをやるしかない。私は一時過呼吸になったりしたけど、2人は国際大会で結果も出して全然メンタルは強い」

 入江「五輪だからってビビらずに開き直って伸び伸びボクシングをしてきます。楽になりました!」

 並木「私はボクシングに関係ないんですけど…。実は、取材でおもしろいことを言えないんです。入江が面白いことを言ってくれていつも助けられているんですけど、どうしたら面白くなれますか」

 しずちゃん「私もあまりおもしろいこと言えないんです…。でも、変に(何か)やろうとするよりいい。2人はいいコンビ。並木さんがいるから入江さんが生きるみたいにね」

 並木「じゃあ(入江が漫才のボケで)私はつっこみ担当ということにしておきます」

 -メディアでのアピールも意識している。

 並木「自衛隊体育学校に所属してレスリングや柔道の選手を見て、まだまだ女子ボクシングは注目度が高くないと感じてます。でも、同じ格闘技として注目を浴びる機会はあるんじゃないか、今回の五輪がその機会じゃないかと思ってます。金メダルを一番の目標にして、今までやってきたことを少しでも多くリングに残せたら」

 入江「注目されたら関心を持ってくれる女の子も増えて、競技力も底上げされていく。私と並木さんでダブル金メダルを獲って(メディアで)引っ張りだこになれたらいいな」

 しずちゃん「本当に応援してます。楽しみですね、金メダル」

 ◆並木月海(なみき・つきみ)1998年9月17日、千葉県成田市出身。4人きょうだいの末っ子で幼稚園の年中から空手、小学3年からキックボクシングを始める。那須川天心とは幼なじみで空手の対戦経験もある。中学2年でボクシングを始め、花咲徳栄高では1年で全日本ジュニア優勝など3年間無敗。高校卒業後に自衛隊へ進み、18年世界選手権銅メダル。21年5月のコロトコフ記念国際トーナメント優勝。好戦的なスタイルで強打を誇るサウスポー。身長153センチ。趣味はお菓子作り。

 ◆入江聖奈(いりえ・せな)2000年10月9日、鳥取県米子市出身。漫画「がんばれ元気」を読んで小学2年でボクシングを始める。後藤ケ丘中では陸上部で800メートルジュニア五輪出場。ボクシングは米子西高3年で全日本選手権優勝。日体大では19年世界選手権8強。昨年3月のアジア・オセアニア予選では、世界選手権覇者を破って日本女子の五輪第1号に。21年5月のコロトコフ記念国際トーナメント優勝。右構えで多彩な攻撃が武器。身長164センチ。飛び込みの代表、三上紗也可は中学の同級生。

 ◆山崎静代(やまさき・しずよ)1979年2月4日、大阪府茨木市出身。03年、山里亮太と「南海キャンディーズ」を結成。04年のM-1グランプリで準優勝。映画「フラガール」(06年)で日本アカデミー賞の新人俳優賞。07年頃からボクシングを始め、12年ロンドン五輪挑戦を決意。同年の世界選手権(中国)の初戦(ミドル級2回戦)で国際試合初勝利も3回戦で敗れて五輪出場はならず。16年リオデジャネイロ五輪も目指したが、15年10月に体力の限界を理由に引退。身長182センチ。

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