白鵬 怒りの上手投げ 翔猿、奇策!場内ウキウキの“モンキー相撲”に動じず7連勝
「大相撲名古屋場所・7日目」(10日、ドルフィンズアリーナ)
進退を懸ける横綱白鵬が、初顔となった翔猿のトリッキーな“モンキー相撲”を冷静にさばいて無傷7連勝に伸ばした。長いお見合い、フェイント…、コントのような爆笑“猿回しショー”に場内は盛り上がったが、横綱は怒りの表情。最後は上手投げでたたき付けた。綱とりの大関照ノ富士は琴恵光を盤石の寄り切りで7連勝。全勝で2人の並走が続く。平幕琴ノ若が唯一の1敗で続く。大関正代は4敗目(3勝)を喫した。
白鵬のお見事“猿回し”だった。2度目立ち合い、仕切り戦から徳俵付近まで下がった“くせ者”翔猿相手に突いて出た。いったん離れて見合った。
ジャブやフェイント、トリッキーな“猿芝居”にも惑わされず今度は頭四つ。またも距離を取って15秒のお見合い。最後はそろりと近づいてきた猿を素早く捕獲。上手をがっちり、豪快に転がした。
どよめき、笑いあり。1分4秒9の「大捕物劇」に場内は沸いたが、白鵬は口を真一文字にしかめっ面。前日は横綱初挑戦の相手との対戦を「大関を倒してますからね」と楽しみにしていた。真っ向勝負のつもりが、こんなサーカス相撲ではガッカリだ。明らかに不機嫌モードでリモート取材も拒否。“言わザル”で会場を後にした。
翔猿は“反省”どころか、「ドキドキしました。(横綱の圧力は)大きかった。次の一手が速い。楽しかった」と涼しい顔。立ち合いは前夜からずっと考えていたが、全く攻め手がなかった。「もっと攻められるように研究します」と、強心臓で言い放った。
白鵬にとっては6場所連続休場から相撲人生を懸ける場所。想定外の“コント”に巻き込まれた形だ。
ただ最強横綱に心配はないだろう。初顔相手には無類の強さで、横綱昇進後これで52勝4敗。無傷7連勝に伸ばし、史上最多を更新する51回目のストレート給金に王手をかけた。
前日から横綱土俵入りの際、五輪デザインの化粧まわしを着用する。綱で五輪マークが作られ、日本とモンゴル国旗が描かれた逸品だ。復活のV45で東京五輪を迎える気は満々だ。