高安 ド根性星 200キロの逸ノ城を一蹴 再大関とりへ2日遅れ白星スタート
「大相撲名古屋場所・3日目」(6日、ドルフィンズアリーナ)
ぎっくり腰で休場していた元大関の関脇高安が途中出場し、身長192センチ、体重200キロの巨漢、逸ノ城を寄り切って2日遅れの白星スタートを切った。再大関とりは厳しいが、V争いのカギを握る存在となる。6場所連続休場から進退を懸ける横綱白鵬が大栄翔をすくい投げで転がし無傷3連勝。綱とりの大関照ノ富士も隆の勝をかいなひねりで仕留め、三役以上の全勝ははや2人となった。大関陣は正代に土が付き、貴景勝は首の負傷で休場した。
高安が駆け付け、いきなり好調の逸ノ城を一蹴した。当たって左を差して先手を取り、激しい攻防にも冷静。最後は左を差し、盤石に寄り切った。
「落ち着いて前に攻めることができた。しっかり頭を上げないようにだけ考えた」と会心の内容。200キロ巨漢の圧力を受け切り、腰の不安を一掃した。
1日の稽古後、急性腰痛症を発症。「歩けなかった」と言うほど、激痛が走った。約10日間の加療と診断だったが、半分の5日でド根性出場を決めた。
恩を返さなければならない。15歳で入門して以降、常に背中を追った3歳上の荒磯親方(元横綱稀勢の里)が今場所限りで独立する。新たな門出に何としても活躍を届けたい。
「1万番以上やっている」と稽古場では常に真剣勝負。兄弟子は19年に引退後、2年半以上も体を鍛え続け、稽古相手になってくれた。今場所前も思う存分、胸を借りた。
“最後の”親方との稽古に高安は「ありがとうございました」と万感の思いで頭を下げた。15歳時、泥まみれになり兄弟子に向かった。「その時に相撲の厳しさを身をもって感じました」と甘い自身に喝を入れてくれた。
苦労して横綱となる姿を間近で見た。「一番は力士としての生き方に影響を受けた」と、あこがれだった。
2場所連続で10勝を挙げ、今場所が再大関とり。昇進ノルマは13勝と厳しいがあきらめない。「きょうを初日と思って千秋楽まで優勝争いに絡めるように」と闘志満々。白鵬、照ノ富士の2強にとっても怖い存在となりそうだ。