五輪観客上限、1万人に決定もスポンサー・関係者「別枠」 無観客提言は事実上の黙殺

 5者協議後、記者会見する東京五輪・パラリンピック組織委の武藤敏郎事務総長(代表撮影)
 5月に無観客で行われた陸上テスト大会
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 政府、東京五輪・パラリンピック組織委員会、東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)の代表者による5者協議が21日、行われ、五輪の国内観客上限について政府の国内大規模イベントの制限に準じ、会場定員の50%以内、最大1万人とすることを決定した。上限を超えるチケットが販売されている種目については、再抽選が実施される。7月12日以降、緊急事態宣言などが発出された場合は無観客も含め検討されるが、有観客を前提に最終準備が進められることになる。

 五輪開幕まであと1カ月と迫る中で、大会側がようやく下した結論は「有観客」だった。

 政府の大規模イベント開催基準と合わせ、「収容定員50%以内で1万人」を決定。さらにIOC、国際連盟(IF)、スポンサー関係者は「運営に必要で観客ではない。上限の外枠」(武藤事務総長)とされ、また学校連携による関係者も「別枠」とされ、大会関係者の多くが参加する開会式を含め、実際には相当数の観客がスタジアムに集結することになった。

 18日に発表された政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長ら専門家有志による大会開催のリスクに関する提言では、「無観客が最も感染リスクが少なく望ましい」などとされたが、事実上黙殺されることになった。

 五輪開催に伴う人流での感染拡大への懸念は依然強いが、橋本会長は「国内外のスポーツが実際に有観客で行われ、しっかりしたエビデンスが示されている。政府のスポーツイベント基準にのっとった開催が可能だと判断した」と説明。一方で橋本会長は提言に「中止」の記載がなかったことについて、2度にわたって言及。「中止ということは尾身会長の提言にも書いていなかった」、「中止と言われなかったことに関しては改めてよかった」と開催への強調材料として利用するしたたかさもみせた。

 都内の新規感染者数は下げ止まりの傾向が強まっており、今後リバウンドの可能性もある。7月12日以降に緊急事態宣言が出た場合は無観客も検討されるが、現状大会側はこのまま有観客で突き進む構えだ。観客問題も決着し、残り1カ月。バッハ会長は高らかに開催への“ゴーサイン”を口にした。

 「我々はレディできている。ヒア・ウィー・ゴー(いよいよ)だ」-。

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