錦織圭が逆転勝ちで3回戦進出 フルセット持ち込み4時間超えの熱戦制す
「テニス・全仏オープン」(2日、パリ)
男子シングルス2回戦で世界ランク49位の錦織圭(31)=日清食品=は、同25位で第23シードのカレン・ハチャノフ(ロシア)に4-6、6-2、2-6、6-4、6-4で逆転勝ちした。2年ぶりに進出した3回戦で世界150位のアンリ・ラークソネン(スイス)と対戦。
第3セットを落として窮地に立った錦織は、ぼうぜんとしながら自問した。「また5セットの戦いなのか」。4時間超えの1回戦を耐えた脚は重く、意識はもうろうとしていた。「体はノーと言っているのに、心はプレーを続けようとした。動きたくないけど、動いちゃうのがすごい」。無我の境地だった。
球に食らい付き、限界に近い体でサーブアンドボレーに出た。最終セットに持ち込まれたハチャノフはいらだち、ガットを殴って出血。錦織は冷静だった。「より良く、より自由に、より積極的に、受け身にならず」。相手のダブルフォールトなどで訪れたマッチポイント。フォアハンドの逆クロスが鮮やかに決まった。
5セットにもつれた試合は26勝7敗。現役トップの勝率は78・7%と驚異的な数字だ。データを紹介した男子ツアーの統括団体ATPは5セットの「王様」とたたえる。
粘り強さや勝負強さは誇らしいが、詰めの甘さが招く消耗戦という一面も。大会序盤なのに「もう5試合戦った気分」。ガッツポーズで喜んだ勝利の味は、苦みも含んでいた。