“ぼったくり男爵”に焦り?IOCが急転 米製ワクチン提供発表 3月は中国製提供表明も

 国際オリンピック委員会(IOC)は6日、東京五輪・パラリンピックに参加する各国選手団に向け、米大手ファイザー社の新型コロナウイルスのワクチンを提供することを発表した。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、都内で報道陣に対応し、ワクチン接種が遅れている日本の高齢者や基礎疾患を持つ人々への優先接種や、ひっ迫する医療への影響がない形で、日本選手団への接種を求めていく考えを示した。

 IOCは声明で「このワクチンの寄付は東京2020のすべての参加者にとって安全で確実なものにするための1つのツールです」と説明した。ただ、タイミング的にはあまりに急な感が否めない。IOCのバッハ会長は3月に中国の五輪委員会の申し出を受け、中国製のワクチンを購入して各国に提供することを明らかにしていた。この時は日本側について、何の情報提供もなく、ただ、その後、一部で中国製のワクチンの効能に疑問を投げかける報道が出ていた。

 米有力紙ワシントンポストが5日に日本政府に対し、中止を決断し、費用の「損切り」をすべきだと促すコラムを掲載した。コラムでは、新型コロナウイルス禍の中で日本に五輪開催を強要しているとして、IOCの姿勢を糾弾。「収益のほとんどを自分たちのものにし、費用をすべて開催国に押しつけている」とし、バッハ会長を「ぼったくり男爵」と痛烈に批判していた。このほかにも、米紙からは中止を提言する報道が相次いでおり、流れを変える一手を打ってきたとみられる。

 ただ、時間的にはギリギリだ。IOCからのワクチン提供は5月末。副反応や、3週間あけて2回接種の必要性などを考えると、猶予はほとんどない。日本では陸上など6月末に代表が決定する競技もある。

 JOCの山下会長は高齢者や基礎疾患を持つ人々への優先接種や、ひっ迫する医療への影響がない形を強調しているが、早急な体制構築と国民の理解が必要になる。さらなる混乱を呼ぶ可能性もある。

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