政権の危機感、都の評価、女性起用 橋本氏一本化の舞台裏

 12日の森氏辞任表明から5日。東京五輪・パラリンピック組織委員会は17日、都内のホテルで“女性蔑視発言”の引責で辞任を表明した森喜朗会長(83)の後任候補を選出する検討委員会(座長・御手洗冨士夫名誉会長)の第2回会合を開催し、候補者を橋本聖子五輪相(56)で一本化した。ここまで舞台裏では政界やスポーツ界から複数の候補者名が挙がり、関係者の思惑が交錯する中、夏冬計7度の五輪出場を誇る「五輪の申し子」への就任要請が決まった。

 当初から官邸からは橋本氏を強く推す声が上がっていた。菅首相がイメージ刷新のため「女性」や「若手」の起用を希望していた。ただ、五輪相の辞任、自民党離党の必要性が指摘される中、橋本氏は難色を示していた。そんな中、急浮上したのが、JOCの山下会長だった。IOC委員にもなり、知名度も高い。「橋本氏、難色」との情報が広がった段階では、関係者の間で山下氏を推す声が強まり、このまま有力候補になるかと思われた。

 一方、菅政権や森氏と距離を置く東京都の小池百合子知事に近い関係者からは、組織委の小谷スポーツディレクターを推す声も浮上。事情を知るスポーツ界関係者は17日の舞台裏をこう明かした。

 「前日までは山下氏の線が濃かったようだが、急転直下、橋本氏に要請することになったようだ」

 森氏の発言とその後の混乱で、大会イメージは失墜。コロナ禍の中での開催には疑問の声も根強い。政権には現職の担当閣僚として事情に通じる橋本氏しか、騒動を収められないとの危機感が高まっていた。都の評価も高く、女性起用を望む声もあり一本化された。

 橋本氏は正式に就任が決まっても、逆風の中を進むことになる。大会関係者は「誰が会長でも森氏ほどの調整力はない」と指摘。橋本氏が、表舞台を去ることになる森氏の力を借りる形になるのではとの見方を示した。

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