「大相撲初場所・１４日目」（２３日、両国国技館）

　平幕大栄翔が初優勝に王手をかけた。玉鷲をはたき込み、３連勝で２敗を死守し１２勝目。並走していた大関正代は関脇照ノ富士にはたき込まれて３敗目。大栄翔が隠岐の海に勝てば優勝、負けても正代が大関朝乃山に敗れれば優勝。大栄翔が負け、正代が勝った場合、優勝決定戦に持ち込まれる。

　痛恨の黒星だった。正代は照ノ富士を一方的に攻めながらの逆転負け。先に大栄翔が２敗を死守したあとの相撲で３敗に後退し「何度か土俵際でチャンスがあった。決め切れなかったのが一番悔しい。もっと詰めが速ければ違った結果になっていたかもしれない」と唇をかんだ。

　勝てるチャンスは再三あった。立ち合い突っ込んできた照ノ富士をいなしてもろ差しで土俵際まで攻めたが、勝ち切ることができない。さらにいなして背後を取るも、向き直って体勢を立て直した相手のはたきを食って土俵に突っ伏した。

　それでもまだ２回目の優勝チャンスが残っている。千秋楽で大栄翔が敗れ、自分がけんか四つの朝乃山に勝てば、優勝決定戦にもつれ込む可能性は残る。平幕に優勝を譲るわけにはいかないという大関の責任も重い。「明日はあと一番、できたら（決定戦の）もう一番、思い切り取りたい。ここで集中を切らさないようにしたい」と、逆転の賜杯を見据えた。