張本智和が完敗「チョレイ」遠慮で反撃の雰囲気つくれず 前日のダメージも響く

 「卓球・全日本選手権」(16日、丸善インテックアリーナ大阪)

 男女シングルスの準々決勝が行われ、男子は3年ぶりの優勝を狙う東京五輪代表の張本智和(17)=木下グループ=が、及川瑞基(23)=木下グループ=に1-4で敗れ、8強で散った。出場していない水谷隼(木下グループ)を含め五輪代表3人、優勝経験者が誰も4強に残らない波乱の展開となった。準決勝、決勝は17日に行われる。

 大会の主役が元気なく姿を消した。張本は最初のラリーで失点すると、先手を奪えないままズルズルと失点。「緊張感も疲労もあり、最後まで地に足がついてなかった」。代名詞である得点時の掛け声「チョレイ」もどこか遠慮がちで反撃の雰囲気をつくれない。出身クラブで1歳の頃から旧知の仲である相手に、第4ゲームに一矢報いるのがやっとで「昨日声を出しすぎたので気をつけようと思ったが、あまり点を取る機会がなかった」と自虐気味に振り返った。

 常にマークされる立場で、ここ2年は優勝を逃すとしばらく動けないほどショックを受けていたが、今回はどこか淡々。試合後は足早にコートを去ってリモート会見場に現れた。「負けた悔しさより疲れた方が大きい。喜怒哀楽を表せるほど元気じゃない」。前日3試合を戦い、長期戦でラケットを振り抜いたダメージも響いたが、「今日のプレーでは優勝できない」と完敗を認めるしかなかった。

 気迫を出し切れない背景にはコロナ禍で発声の自粛が呼びかけられたこともある。前日は窮地で絶叫しながら逆転勝ちにつなげたが、審判に注意される場面もあった。「今日は抑えようと思ったが、今イチ乗り切れない部分はあった」。独自の制約に翼をもがれたが、「ルールやマナーを守りつつ勝つことを覚えたい」と糧とした。

 万全でなくとも勝たなければいけないのが第一人者の宿命だが、まだ17歳。「(状態が)100%ではなかったが、トーナメントで戦う中で仕方ないこと。まだまだ体力面で向上できる」。真のエースに成長するための教材にすればいい。

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