駒大が13年ぶり7度目総合V 10区歴史的大逆転!石川3分19秒差ひっくり返した

 「箱根駅伝・復路」(3日、神奈川県箱根町芦ノ湖駐車場~大手町)

 駒大が10時間56分4秒で13年ぶり7度目の総合優勝をアンカーの大逆転で果たした。往路1位の創価大から2分21秒遅れの3位で復路をスタートすると、6区の花崎悠紀(3年)が区間賞の走りで2位に浮上。最終10区では創価大との3分19秒差を、石川拓慎(3年)も区間賞の走りで猛追し、残り2キロ付近でトップに立った。駒大は今季の大学三大駅伝のうち開催された2大会で優勝し、2冠も達成した。

 ドラマのような逆転劇は、残り2キロで起きた。3分19秒遅れの2位で最終10区へ突入した駒大はアンカー石川が創価大を猛追。20・8キロで後ろに付けると、相手の苦しそうな顔を横目にスッと抜き去り、涼しい顔でグングン加速した。最後の直線では勝利を確かめるように小さく右手でガッツポーズ。両手を突き上げ満面の笑みでゴールテープを切った。

 一人一人が劇的なフィナーレにつながる仕事を果たした。6区では花崎も区間賞。大八木弘明監督(62)も「想定外。特にアンカーは想定外」と目を丸くし、「ちょっと不思議な感覚。こういう勝ち方はあまり経験したことがない。びっくりしてます」と13年ぶりの優勝をかみ締めた。

 逆転“劇”の脚本を作り上げたのは、大八木監督の“げき”だ。大会中は監督車から終始熱い言葉を飛ばし、逆転が目前に迫ると名言の「男だろ!」が飛び出した。石川も「20キロで一気に詰めていけると思ったら、監督から『男だろ!男だよ!』と言われて『おっしゃ』とスイッチが入った」。ここぞのタイミングでしかかからない言葉に「力になる」と自然と足も動いた。

 頂点から遠ざかった13年間、大学駅伝界の名物監督は常に頭を抱えていた。「(原因は)練習方法なのか、古い考えなのか…」。時代の変化とともに、選手との付き合い方が変わった。今時の若者である選手からSNSで連絡が来ても電話をかけ直し、時にはサウナに一緒に入る古風な対話を重ねてきた。

 男気も見せた。年齢を理由に足が遠のいていた朝練の指導に、昨春から再び通い始めた。「(昔と)変わったと思います。昔の教え子に全然厳しくないと言われるけど、今はこう(厳しい指導)だとやめちゃう」。そう苦笑いしながら「子供を育てるのはやりがいがある」と優しい表情で話す。

 監督の思いは選手にも伝わった。昨年11月の全日本大学駅伝で6年ぶりに優勝。石川も「勝てるチームができている」と箱根への自信にし、最後の大差にも「『絶対優勝できる』とたすきをもらって走りました」と逆転を信じられた。

 大学三大駅伝の“2冠”を達成し、駅伝界の圧倒的王者となった。2年生の絶対エース・田沢廉を抱えるなど層が厚く、今回の箱根駅伝を走った4年生は1人だけ。来季は「三大駅伝を取りにいきたいし、五輪につながる選手も育てたい」と指揮官。昔かたぎな“男気”を背負う大八木監督が、新たな時代を演出する。

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