競泳・松元克央、東京五輪「開催されるなら、何でもする」 金目指し“追いカツオ”

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて1年延期となった東京五輪が、7月23日に開幕する。開催を不安視する声が高まる中、一部競技では国際大会が再開。止まっていた時計の針が動きつつある。昨秋にハンガリーのブダペストで行われた競泳の国際リーグ(ISL)に参加した“カツオ”こと19年世界選手権男子200メートル自由形銀メダリストの松元克央(23)=セントラルスポーツ=がオンラインで新春インタビューに応じ、国際大会で得た刺激を強調。五輪への思いを熱く語った。

 東京五輪でカツオが大暴れの予感だ。目指すのは金メダルただ一つ。年末年始の厳しい練習に耐え、鍛錬の毎日を過ごしている。

 「大みそかまでガッツリ練習して1日は休み。また2日から練習です。いつも年末年始はタイで合宿をするので、日本で年末年始を過ごすのは久しぶり。家族と過ごすお正月は何年ぶりかな」

 2020年は世界中がコロナ禍に見舞われ東京五輪は1年延期。自粛生活を余儀なくされるなど、過去にない厳しい1年となった。

 「まずは試合があること、練習できることが当たり前じゃないとあらためて思った。今の自分があるのはたくさんの人の頑張りで成り立っている。2020年はたくさん感謝を覚えました」

 その中で迎える2度目の五輪イヤー。1年前、多くのアスリートが年越しを節目に、強く決意を固めていた。松元も五輪に向けた強い決意を語っていた。それだけに、延期は精神的なダメージとなった。練習に身が入らない時期も経験した。

 「やっぱり、五輪が開催されるかどうかのモヤモヤはどうしても生じる。ただ、そういう気持ちだと目標もかなわないと思うので、東京五輪がある前提でしっかり頑張らないといけないなと。(今は)頑張る気持ちとモヤモヤとが戦いつつという感じです」

 そんな心のモヤが少し晴れるきっかけとなったのはやはり大会だった。世界トップスイマーが集まるISLに東京フロッグキングスの一員として参加。大きな刺激を受けた。

 「久しぶりに海外の選手と戦って、まだまだ自分は実力不足だと思えた。五輪に向けて今のままじゃダメダメだと感じられたことは大きな収穫」

 コロナ禍の中で世界中から選手が集結。徹底した感染対策を行ったからこそ、大会は無事に開催された。

 「ハンガリーのホテルに着いて、まず1回PCR検査を受けて。検査結果が出るまでは部屋から一歩も出ちゃいけない隔離生活だった。だいたい48時間で結果が出る。その間はずっと部屋で、ご飯もドアの前に置かれるような感じだった」

 陰性が確認され部屋での隔離は解かれたが、その後もドナウ川に浮かぶ島を「バブル」とし、行動範囲は島内に限定。外出は90分までと決められた。食事会場でも1人1テーブルで会話を禁ずるなど制限は多かった。PCR検査は3~5日に1度のペースで受け続ける必要があった。

 「ずっと陰性であり続けてやっと試合に出られる感じだった。PCR検査は、棒を鼻や喉の奥にやられて、結構痛いんです…。前の人が(検査の)部屋からちょっと涙目になって出てくるのを見ると、今日の先生ちょっと痛いのかなとか。ドキドキしました(笑)結果はメールでネガティブかポジティブか連絡が来ます」

 泳ぐ時間以外はマスクの着用が義務づけられた。

 「試合後ハァハァしている中でもマスクをしないと注意された。でも、それくらいやってこそ安心する。僕自身も、海外の選手は(ウイルスを)持っているんじゃないかとか、やっぱりちょっと考えてしまう部分はあったので」

 もちろん制限はストレスだ。ただ「4月から7月くらいまで試合がなく、試合がしたいという欲求をぶつけられた。試合以外でのストレスはあったけど、開催される喜びの方があったので我慢できた」と振り返る。

 東京五輪でもPCR検査を含め、厳しい感染対策への協力を求められるだろう。

 「それさえやれば試合が開催されるなら、何でもする。PCRは痛いけど、毎日でも、やらなきゃいけないならやります。ただ、試合が開催されてほしいと願うだけなので。ISLに参加した海外の選手とは帰り際に『東京で会おう』と話しました。東京五輪で会いたいし、開催されてほしいと誰もが願っていると思う」

 帰国後、12月の日本選手権で松元は200、400メートル自由形、100メートルバタフライの3冠を達成。会場は東京五輪が行われる「東京アクアティクスセンター」だった。

 「五輪で使われるプールで泳いで五輪を想像したし、そこで勝ちたいと思った。日本選手権をきっかけに、五輪へのわくわく感は増していきました」

 19年世界選手権200メートル自由形では最後の50メートルで猛烈な追い上げを見せ、銀メダルだった。東京五輪でも、描くのは同じレースプランだ。

 「最後追い上げるのは本当にキツいけど、今の練習をしっかりやるからこそできる。海外の選手にはない僕の強みだと思うので、そこは変えずに『追いカツオ』でいきたい」

 ISLや日本選手権で東京五輪の“予行演習”を終え、迎えた勝負の2021年。

 「最高の年にしたい。東京五輪で金メダルを獲得して、(師事するコーチの)鈴木先生の首にメダルをかけることが目標です」

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