「柔道・男子６６キロ級東京五輪代表決定戦」（１３日、講道館）

　世紀の一戦を制したのは阿部一二三（２３）＝パーク２４＝だった。五輪代表選考で日本柔道史上初となる一騎打ちのワンマッチで１７、１８年世界王者の阿部が、１９年世界王者の丸山城志郎（２７）＝ミキハウス＝と２４分にも及ぶ死闘を大内刈りで延長優勢勝ち。女子５２キロ級の阿部詩（２０）＝日体大＝と日本柔道初のきょうだい代表を決めるとともに、来夏の金メダル獲得に向けてようやくスタートラインに立った。

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　阿部選手は少しずつ下がりながら、丸山選手は少しずつ前に出ながらという展開でした。昨年のＧＳ大阪で阿部選手が勝ったときのように、隙を見て攻めていく。相手が先に指導を２つ取られましたが、それも狙っていたようでした。

　もつれさせるというか、対丸山でいえばそこに勝機を見いだすしかなかったのでしょう。組むまでは下がってやっていたものの、組んでからは前に出ようとしていました。これまでと若干違って、比較的積極的でした。

　途中で阿部選手が爪などを痛めるシーンがありました。審判からするとあまり印象は良くなく、選手の立場からすると自分のペースかなと感じるものです。それも含めて流れとしては丸山選手かなと思っていました。

　それを覆した執念。最後は気持ちかなと思っていました。決して丸山選手になかったわけではないけど、今までに比べて阿部選手がより気持ちを前面に出していた印象です。

　東京五輪ですが、阿部選手は右技しかなく、外国人にはかなり研究されています。五輪ではいかに自分の実力を出せるかがポイントになるでしょう。

　２４分の試合は独特でした。勝った人が代表に決まるという形が一番いい気がしています。（００年シドニー五輪男子８１キロ級金メダリスト、駒大総合教育研究部　スポーツ健康科学部門准教授）