貴景勝がV一夜明け会見 けがで原点回帰「基本の押しを磨こう」「押し相撲の魅力を」

オンラインで優勝一夜明け会見を行った貴景勝(日本相撲協会提供)
オンラインで優勝一夜明け会見を行った貴景勝(日本相撲協会提供)
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 大相撲11月場所(22日千秋楽、東京・両国国技館)で2年ぶり2度目の優勝を果たした大関貴景勝(24)=千賀ノ浦=が23日、都内の部屋からオンラインで会見した。

 18年九州場所の初優勝から2年。「また違った優勝なので疲労感もあったかな。初優勝は本当に現実かどうか分からなかった。今回は直接対決だし、つかみ取ったという感じ」と一夜明けて振り返った。

 1差で追う小結照ノ富士(伊勢ケ浜)と結びで対戦。本割で敗れ13勝2敗で並んで決定戦に持ち込まれた。今年最後の大一番へ、「純粋に自分の相撲を取りきって負けたらもっと自分の相撲を磨いていくしかない」と、無心になった。

 先場所12勝を挙げたが、優勝には1差届かず「一番の重みを感じた」と言う。今場所は15日間の考え方を変えた。「15日でどれだけ勝つか。トーナメントと思った。初日に勝ったら2日目、2日目に勝ったら3日目に進める。きょう勝たないとあしたはないと視点を変えて臨んだ」。勝利へのどん欲さが増したことも好結果につながった。

 今年3月の春場所で左膝を負傷し負け越し。7月場所で何とか勝ち越し、カド番を脱出すると途中休場した。新大関場所では右膝、昨年秋場所は左胸を負傷した。ケガの連続が原点に立ち戻らせた。

 「(3月に)膝をケガして、それによって自分の中で何がいいのか考えた。前に出る馬力を付けて、基本の押しを磨こうと思った。4カ月、5カ月、半年、取り組んだ。それが良かった。応用に走りがちだったけど、基本がしっかりすればパターンもさらに広がる。小学生の頃から押せ、前に出ろと言われたことを思い出してやろうと思った」。先場所が12勝、今場所が13勝を挙げて優勝と、一から作り直したことが結果になって表れた。

 17年初場所の稀勢の里以来、22場所ぶり大関の優勝。「踏ん張ってきて良かった。悪い時も支えてくれた人がいる。そういう人たちに恩を返せた。現役力士なのでどんな言葉より土俵の上で見せることが一番」とかみしめた。

 21年初場所(1月10日初日、両国国技館)で初の綱とりに挑む。「今場所も最高の形にもっていった。来場所、何か変わることはない。初場所までやり切ってしっかり勝負していきたい」と決意を込めた。

 身長175センチと決して大きな体ではない。突き押し一本で横綱は難しいとも言われる。「目指す価値はあると思う。無理って言われているのをやり遂げた時の充実感は替えられない。押し相撲の魅力を伝えたい。今から四つ相撲を覚えられない。押し相撲を鍛えることしかできない。少なくとも期待する人に応えていきたいと思う」と困難だからこそ、燃えるものがある。

 今場所は一度もなかった横綱、大関戦。初場所で横綱、大関が復帰した中で真価も問われる。「その状況、その状況でベストを尽くせればと思う。他の2人の大関に何が勝ると考えると体もないし、一生懸命やることしかない。(横綱、大関戦を)15日間の1日と思っていたら負ける。きょうで最後、きょうやり切らないとあしたは出場できない気持ちでやれればと思う」と、意気込んだ。

 激闘を終え、つかの間の休息。「お風呂にゆっくりつかりたい」と、笑みを浮かべた。

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