柔道リオ五輪銅・山部佳苗が引退会見「やり切った」恩師は「わがままで大変な選手」

 柔道女子78キロ超級で16年リオデジャネイロ五輪銅メダリストの山部佳苗(30)=ミキハウス=が6日、大阪府八尾市で引退会見を行った。「自分の中でやり切った思いがあった。納得いく柔道ができたのと、(所属の)後輩たちがしっかり頑張ってくれる道筋ができたと感じて引退を決めた」と報告し、「自分の柔道人生は悔いなく終わり幸せだった」と晴れやかに語った。

 引退を決意したのは先月31日に出場した講道館杯。5位に終わったが、「戦っている最中から自分には闘争心がなくなったと感じた。柔道選手として終わりだなと」。昨年11月には腰のヘルニアで手術を受け、今年8月頃に稽古を再開したが、「リハビリを続けてきたけど思うようにいかなくて。(所属の)後輩が頑張っている姿を見て、自分が先頭を切って背中を見せなくても大丈夫と感じて(引退を)決意した」と明かした。

 山部は切れ味鋭い払い腰を武器に、全日本女子選手権を3度制すなど女子重量級の第一人者として活躍してきた。

 13年のミキハウス入社後からずっと指導してきた元世界女王の薪谷翠コーチは「入社以来二人三脚やってきたが、一言で言うと(山部は)わがままで大変な選手でした」と笑いながら告白。「精神面はすごくもろかったが、切り替えだけは人一倍早くて他の人にはマネできない。忍耐力がすごく長けていた」と振り返り、「指導者として成長させてもらった。自分の経験だけではここまで来られてなかったし、感謝している」とねぎらった。

 山部も「練習をやりたくないとか言って困らせたり、たくさん悩ませた」と苦笑いしつつも、「最後に五輪会場を選手とコーチとして歩くことができて良かった。感謝の気持ちでいっぱい」と頭を下げた。

 今後の活動は未定だというが、「これからゆっくり考えて、何かしら柔道に携わりたい。柔道界に恩返ししたい」と将来的には指導者を目指す考えを明かした。「薪谷先生みたいな愛情ある指導者になりたいが、自分が持っている技術、(選手に)かけてあげたい言葉とかを勉強したい」と第二の人生に向けて意欲を燃やした。

 ◆山部 佳苗(やまべ・かなえ)1990年9月22日、北海道札幌市出身。6歳から柔道を始めた。旭川大高から山梨学院大に進学し、4年時に全日本選手権を初制覇。15年世界選手権で3位となり、翌年のリオ五輪では銅メダルを獲得した。アイドルグループ・ももいろクローバーZのファンで、17年にはシングル「BLAST!」のミュージックビデオに出演。右組みで得意技は払い腰。172センチ、105キロ。

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