正代、あるぞ大関!貴景勝との対決制した 26日朝乃山と大一番も「落ち着いている」

 「大相撲秋場所・13日目」(25日、両国国技館)

 関脇正代(28)=時津風=が大関貴景勝との2敗対決を突き落としで制し、首位を死守した。6連勝で11勝目を挙げ、熊本県勢悲願の初賜杯へ地元は花火8発をぶち上げ景気づけ。14日目、3敗の大関朝乃山との大一番を突破し、13勝2敗で初優勝となれば一気に大関昇進の可能性も出てくる。新入幕で28歳の翔猿(追手風)は隆の勝を送り出して2敗をキープ。正代と翔猿が首位を並走し、1差で大関朝乃山と貴景勝、平幕若隆景、阿武咲の4人が追う。

 これが正代の相撲だ。貴景勝のぶちかましを弓なりになって胸で受け止める。強烈な突き押しにも一歩も下がらず押し込む。さらに頭で当たる大関を右に左にいなして、最後は土俵に突き落とした。

 天性の体の柔らかさに加え、筋トレで鍛え抜き立ち合いの圧力が格段にアップ。馬力自慢の大関も圧倒した。

 勝っても表情一つ変えず、リモート取材でも丁寧に対応。「イメージのような相撲が取れた。(勝った瞬間は)あー勝ったんだ」と、振り返った。

 自己最長タイの6連勝で11勝目。八角理事長(元横綱北勝海)は「正代が強かった。下がらない。自信がついたということ。変に気負わない」と絶賛。土俵下の藤島審判長(元大関武双山)は「押し勝っている。相撲は互角以上」と“大関級”の実力を認めた。

 先場所11勝に続き、関脇で連続2桁勝利で来場所が大関とり。ただ、13勝2敗で初優勝となれば一気昇進の機運は出てくる。先々場所の8勝と合わせ三役3場所計32勝。昇進目安となる33勝には届かないが、朝乃山も32勝で昇進を決めている。

 昇進を預かる審判部の伊勢ケ浜部長(元横綱旭富士)は前日、「いろいろ考えるところがあります」と可能性に含みを持たせた。

 正代の13日目終えてトップは今年初場所以来。先場所を含め、今年は2度の優勝争いに一歩届かず。県勢初賜杯を待望する故郷熊本県の宇土市ではこの日からパブリックビューイングを開始。正代から贈られたくまモンの反物で作ったはっぴを着て大声援を送った。

 後援会の金田光生後援会長は「三度目の正直です!」と気合十分。すでに宇土市長とは優勝パレードを計画する。正代が勝てば上げる花火をこの日は豪快8発。景気を付けた。

 14日目は朝乃山と大一番。今場所は当日まで対戦相手を見ない“験担ぎ”をしていたがNHKインタビューで「あすも大関」と言われ苦笑い。「分かっていましたけど」とここまで来れば関係ない。

 「今のところは落ち着いている。この感じで最後まで。引っ張る?そんな大それたことは…」といつも通りの正代。あと2番、淡々と戦い抜く。

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