内村航平6位、試練の第一歩 鉄棒専門で悔し初陣も「五輪に出て昔みたいに輝きたい」

 鉄棒の演技を終え、優勝した宮地秀享(左)と握手を交わす内村航平
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 「体操・全日本シニア選手権」(22日、高崎アリーナ)

 体操男子で五輪個人総合2連覇王者の内村航平(31)=リンガーハット=が鉄棒のスペシャリストとして初、そして389日ぶりの公式戦に臨んだ。実戦初投入となったH難度の離れ技ブレトシュナイダーはバーをつかんだものの、14・200点と得点を伸ばしきれず、6位に終わった。スペシャリストとして東京五輪代表を争うライバルの宮地秀享(25)=茗渓ク=が近年の世界選手権金メダルスコアを上回る15・366点をマークし優勝。4度目の五輪に向け、試練の戦いが始まった。

 悩みに悩んだ末に選んだ新たな道もまた、決して平たんではない。そう痛感させられた1分間の演技だった。

 「悔しさが8割。1割は『どうしてなんだろう?』、もう1割は『しょうがないか』という気持ち」。ピタリと止めた着地にも、内村の表情が緩むことはなく、眉間にしわを寄せた。実戦で初のお披露目となったH難度ブレトシュナイダーはつかんだが、肘が曲がり、車輪につなげられず大きく減点された。

 「なんかよく分からない空間に放り込まれた感覚だった」。6種目で“絶対王者”として君臨してきた。389日ぶりというブランクに加え、1種目だけに懸ける心構えも、まだできていなかった。

 同じく鉄棒で五輪を目指す宮地が自身の名がつくI難度ミヤチを含め離れ技5つをすべて成功させる演技で、近年の世界選手権金メダルのスコアを上回る15・366点をマーク。その差は1・166点差。スペシャリストの“先輩”に貫禄を示される格好となった。

 それでも、五輪切符を巡る本当の勝負はここから。演技前、ライバルとの心理戦も展開されたという。「調整していたら、そこに宮地がきて『僕はブレトシュナイダーを初めて使った時、落ちました』と。プレッシャーを掛けられた(笑)。僕は落ちなかったので、よかった。前向きに考えたい」と明かした。

 満身創痍(そうい)の体を抱え、オールラウンダーとしてのプライドを捨てて、選んだスペシャリストとしての道。初陣を終え「やっぱり体操って難しいんだなと改めて思った」と同時に、東京五輪への思いも改めて湧いた。「若い選手が輝いていた。自分も五輪に出て昔みたいに輝きたい。1分で、今まで表現できていた以上のものを表現しないといけない」。究極の60秒を求めて、まだまだもがき、悩み抜く。いばらの先に、再び輝ける場所はある。

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