朝乃山やっと1勝!雪辱の大関初Vへ 恩師の次男が母校の後輩に…強い相撲で恩返しだ

 「大相撲秋場所・4日目」(16日、両国国技館)

 大関朝乃山にやっと初日が出た。北勝富士を寄り倒し、初日からの連敗を3でストップ。巨漢を生かし、最後まで圧力をかけ攻め切る本来の相撲が戻った。苦しみつかんだ1勝から反撃を開始する。

 朝乃山がようやく夜明けだ。立ち合いから巨体を生かしパワー勝ち。おっつけられ右差しを封じられても慌てない。突き放してぐいぐい出る。右を差し、胸を合わせて体ごと寄り倒し。最後は左でひと突き、北勝富士を豪快に吹っ飛ばした。

 両横綱が休場し出場最上位。「引っ張っていく」との決意は空回りし、V候補筆頭が初日から3連敗を喫した。初日こそリモート取材に応じたが、2日目から拒否。連敗を止めたこの日もパソコン画面の前を無言で素通りし、責任を果たせない悔しさをにじませた。

 3つの黒星はすべて焦って強引な投げを打ち自滅。我慢して前に出てつかんだ1勝が復調のきっかけになる。八角理事長(元横綱北勝海)は「悪くなればなるほど前に出ることが基本。これで普通通りの朝乃山に戻ってほしい」と期待した。

 故郷富山に恥ずかしい姿は見せられない。17年1月に亡くなった富山商相撲部時代の恩師、浦山英樹監督の次男・将瑛君が今年4月、自身の母校・呉羽中に入学し相撲部に入部。同部顧問の杉林雅章先生は新入部員へのあいさつで「中学時代の朝乃山は特に真面目に稽古した」と訓示した。浦山監督の家族とは今も親交があり、相撲のすべてを教わった師の愛息に、強い相撲を見せることが恩返しにもなる。

 4日目にして全勝は平幕2人と大混戦。3敗をキープすれば十分、優勝圏内に食らい付ける。新大関の先場所は12勝を挙げながら優勝を逃し「悔しさを忘れない」と胸に刻み臨んだ今場所。雪辱の大関初Vはあきらめない。

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