日本陸連が1人1000円「登録料」徴収へ コロナ禍も影響…東京五輪後の収益構造見直し

 日本陸連は9日、オンラインで臨時理事会を開催し、財政悪化に伴う収益構造見直しのため、これまで徴収していなかった選手登録料を新設することを決めた。料金は1人当たり1000円で中高生は500円。2021年度から実施し、23年度以降は値上げの可能性も検討するという。

 これまで日本陸連は、一般的な競技団体が選手個人に徴収している「選手登録料」という形を取らず、記録処理のための「データバンク料」という名目で1人100円を徴収する異例の形を取っていたが、これを機に実質的な“値上げ”となりそうだ。日本陸連はスポンサー収入や国からの強化助成金などを主な財源としてきたが、来夏の東京五輪が終わった後は減収となることが必至。近い将来に向けて登録料設定を模索していたが、それに加えて、今年に入ってからは新型コロナウイルスの影響でスポンサー収入が急減したことから、議論が加速した。

 取材に応じた尾県貢専務理事は財政状況の悪化について「競技会を開催できず収入が入ってこない。今年に関してはマラソンの選考会がなく、そこからの収益がない」とコロナ禍の影響も明かし、「今の(国内の)経済状況、陸連の収益構造だと、(財政難で)陸連の活動は止まってしまう」と説明。選手強化についても「国からの助成金が東京五輪・パラリンピックの招致が決まる前(2013年以前)に戻ると、強化費は3~5割減になるのではと予測を立てている。その中でしっかり強化をしていくには見直して、登録料を設定しないといけないと考えている」と見直しの必要性を訴えた。

 コロナ禍で国民全体の経済状況が悪化している中、選手や保護者への負担増を強いることになるが、これまで通りに競技会やイベントを実施するためには見直しが不可避だという。尾県専務理事は「何とか陸連の機能を維持し、登録していただいた子供たちには陸上を好きになってもらう行事をやっていきたい」と方針を示し、「お金を取るのは心苦しいが、本来競技団体はそういうもの。このような受益者負担の考え方が、今後当たり前になるのではと思っている」と苦渋の決断への理解を求めた。

 21年度以降、新たに登録料を徴収することで約2・3億円の増収を見込んでいるという。競技会開催の他、これまで以上に記録管理システムを充実させることなども目指しており、「(各個人が)マイページで自分のランキングが分かったりとか、システムをつくるためにもお金を使っていきたい」と競技者への還元を誓った。

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