照ノ富士、玉鷲と張り手合戦制し11勝目 朝乃山とトップ同士“新旧大関”対決へ

 玉鷲(右)との激しい張り手の応酬を制し、白星を守った照ノ富士(撮影・中田匡峻)
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 「大相撲7月場所・12日目」(30日、両国国技館)

 14場所ぶりに幕内復帰した元大関照ノ富士が7連勝とし、大関時代の17年夏場所(12勝3敗)以来となる11勝目(1敗)を挙げトップを守った。玉鷲とのド迫力“張り手合戦”を最後は寄り切りで仕留めた。新大関朝乃山も北勝富士をすくい投げで退け、2人が1敗で並走。13日目はトップ同士、“新旧大関”が激突する。

 カッとなる以前の照ノ富士の姿はない。玉鷲の弾丸のような張りを何発、顔面に食らっても冷静だった。組めないと判断するや、張り手で応戦。右からいなして崩すと最後はつかまえて観念させた。

 気迫あふれる表情はリモート取材でも崩さず。「落ち着いて取れて良かった。落ち着いて前に出ようと思っていた。(激しい相撲は)想像通り。冷静にいこうと思っていた」と淡々と振り返った。

 23歳時の15年夏場所で初優勝し同場所後に大関昇進。横綱に最も近いと言われた。場所中も飲み歩くなど、やんちゃな武勇伝も数知れず。だが、すべてを失った日々が変えた。

 両膝のケガに加え糖尿病、C型肝炎、腎臓疾患が重なり、大関を陥落。序二段まで番付降下した。「プライドが捨てられるか心配だった。もう1回どんな気持ちで戻るのか。付け人もおらず全部、自分でやらないといけない」。絶頂を味わったからこその屈辱。だが耐えしのんだ。

 周囲の支えが28歳になって分かる。親方、部屋の若い衆らへ「感謝」の言葉を今は忘れない。心も相撲も大人になった。

 「相撲人生を2回楽しむ」が合言葉。元大関の平幕Vは76年秋場所の魁傑がいるものの、序二段まで落ちた元大関が再び幕内優勝するなど、もちろん初めて。照ノ富士にしかできない人生を楽しむ。

 13日目は朝乃山と1敗トップ同士、“新旧大関”が激突する。ともに右四つのパワー自慢。初場所前の稽古では照ノ富士が圧倒した。「冷静に自分のできることをやるだけ」。先輩の貫禄を見せつけ、史上最大の復活V劇を果たす。

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