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東京五輪まで2度目の“あと1年” 前向き、引退、達観…交錯するアスリートの思い

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で来夏に延期された東京五輪まで、23日であと1年となった。アスリートたちの運命を大きく変えることとなった史上初の大会延期。コロナ禍収束のメドが見えない中、選手たちはさまざまな思いを抱えて、夢舞台を見据えている。1年後の可能性を信じる者、競技生活に見切りをつける者、大きな視野で現状を受け止める者。思いが交錯する中で、2度目の“あと1年”が始まる。

 延期に衝撃を受けながらも、来年の開催を信じて、前を向き始めている選手は多い。東京五輪を「集大成」としていた重量挙げ2大会連続メダリストの三宅宏実(いちご)は延期決定の際、「気持ちがぷちんと切れた」という。それでも満身創痍(そうい)だった体の回復に充てる機会を得た。1年の時間は「ボーナスタイム」と位置付ける。卓球男子の水谷隼(木下グループ)は「1年でパフォーマンスが落ちるわけじゃない。もう1年延期になっても、やっていきたい気持ちは持っている」と、闘志は衰えていない。

 大きな決断を下した選手もいる。体操男子の個人総合2大会連続王者の内村航平(リンガーハット)は、こだわりのあった団体、個人総合での出場に区切りをつけ、種目別の鉄棒一本で出場を目指すことを決めた。競泳男子で五輪代表に内定している瀬戸大也(ANA)は、延期を受けてコーチ変更を決断。埼玉栄高の同級生である浦瑠一朗氏を新コーチに迎え、新たな環境で自らを鼓舞している。

 一方でバレーボール女子の新鍋理沙は、肉体的、精神的限界から引退という選択肢をとった。新鍋は引退会見で延期決定時の心境を「絶望」と表現した。練習環境も制限され、国内外の大会開催も不透明な中で、葛藤を抱える選手は多い。

 来夏の開催すら危ぶむ声も出ている中で、再延期や中止の可能性も受け止めながら、長い目で今後の競技生活を見据える選手たちもいる。今年2月に左アキレス腱を断裂した体操女子の寺本明日香(ミキハウス)は、今夏開催なら出場は厳しかった。それでも「もし(1年後に)五輪が開催されなくても、自分が見せられることはある。そういう意味では五輪がすべてではない」と言う。マラソン男子代表の大迫傑(ナイキ)も「五輪は集大成だが、なくなれば、次の目標に向かってやるだけ」と、淡々と現状を受け止めている。

 さまざまな思いが交錯する中で、再び365からのカウントダウンがスタートする。

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