阿部一二三、苦戦も勝ち切りV 4月丸山と最終決戦「直接対決で勝つしかない」

 「柔道・グランドスラムデュッセルドルフ大会」(21日、ドイツ)

 東京五輪代表選考会の一つとして行われ、男子66キロ級で逆転での五輪切符を狙う阿部一二三(22)=日体大=は苦戦しながらも6試合を勝ち切って優勝した。ライバルの19年世界王者・丸山城志郎(ミキハウス)に並んだ形となり、代表争いは最終選考会である4月の全日本選抜体重別選手権(福岡)まで持ち越しとなることが決定的となった。女子52キロ級は世界選手権2連覇中の阿部詩(19)=日体大=が制覇し、27日の強化委員会での代表内定は確実。きょうだいでの東京五輪同時出場に一歩前進した。

 阿部一が執念で五輪代表争いに踏みとどまった。負けた時点で五輪が絶望的となる崖っぷちの戦い。重圧の中で動きは硬く、攻撃柔道は鳴りを潜め、苦戦の連続となった。

 それでも決勝は背中を持って豪快な大腰で投げ切って一本勝ち。「無事に優勝できて良かった」。至上命令だった頂点にたどり着き、ようやく訪れたカタルシスに頬を緩めながら、両親らが駆けつけたスタンドに軽く手を挙げて応えた。

 代表争いは今回けがで欠場した丸山がリードしている状況。阿部一が生き残るために課せられたノルマは優勝のみという背水の陣だったが、GS大阪に続いて男を見せた。

 日本男子の井上康生監督は「阿部にとって落とせない試合で、大きな重圧の中で勝ち切ったところは非常に大きな評価になる」と目を細めた。同時に「丸山と阿部が並んだような状況で、次なる戦いになってくるのではないか」と選考が4月の最終局面にもつれ込むことを認めた。

 ただ、激闘を繰り広げる中で阿部一は左手親指を負傷した。本人は「大丈夫」と強調したが、次戦まで1カ月と時間がないだけに、けがの程度によっては影響は避けられない。それでも最終決戦までは残り約40日しかない。「もう直接対決で勝つしかない。また(体を)つくり直して、次にぶつけるだけ」

 15年にリオ五輪への望みを絶たれた相手も丸山だった。「(昨年の)大阪で勝って、燃えている気持ちがずっと自分の中にある。その気持ちをぶつけたい。初戦から全開で阿部一二三の柔道を100%出していきたい」。過去3勝4敗の宿敵とケリをつけるときがきた。

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