羽生結弦が男子初の6冠“スーパースラム” 悔い残るも充実感「ホッとした」

 「フィギュアスケート・四大陸選手権」(9日、ソウル)

 男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)で世界最高得点を更新する111・82点をマークし首位発進した羽生結弦(25)=ANA=は、競技会では平昌五輪以来約2年ぶりに「SEIMEI」を演じ187・60点、合計299・42点で大会初優勝を果たした。ジュニア、シニアの主要国際大会全制覇の6冠“スーパースラム”を男子では初めて達成。3月の世界選手権(モントリオール)では、4回転半ジャンプを組み込んだ究極の「SEIMEI」完成を見据えた。

 平昌五輪で見せた、鬼気迫る表情とはまたひと味違った“陰陽師”がソウルの銀盤に舞い降りた。2020年の今だからこそ見せられる羽生の「SEIMEI」。冒頭の4回転ルッツは着氷が乱れ、演技後半の4回転トーループでは転倒。それでも、四大陸選手権の初タイトルは逃さなかった。「やっと勝てて良かった」と羽生。ジュニア時代も含めた主要国際大会6冠“スーパースラム”を男子では初めて達成し「ホッとしたのが一番」と胸をなで下ろした。

 とはいえ、ジャンプでミスが続いたのは紛れもない事実。「どういうふうに集中していったらいいのか、あらためて勉強させられた試合」と受け止めた。

 百戦錬磨の王者が動じたのは、滑走前に「いつもとは違った」アクシデントが生じたから。前の滑走の車俊煥(韓国)の得点を待つ間、リンクに入ると、直後に氷が欠けている部分を発見した。「コンクリートが見えていた」。ジャッジ席へ行き状況を伝え、氷を整え直してもらった。

 「どうしようかな?って一瞬考えてからレフェリーに(伝えに)行った。気が散っている状態で(演技に)入っちゃったのが残念。ルッツに集中している状態で入っていけたら、また違った」。悔いは残るが、それでも戦えたという充実感も胸にはあふれた。

 3月の世界選手権へ「トライしたい」と語るのは、夢のクワッドアクセル(4回転半)と音楽とを融合させた、羽生が目指すフィギュアスケートを「SEIMEI」で表現すること。SP「バラード第1番」では「シームレスに(つなぎ目なく)全てが入っているのが心地いい」と、自身が目指す演技を体現できたことに大きな手応えを得ただけに「今、やっていることを突き詰める。方向性は間違えていない」。願望は、確信へと変わった。

 4回転半は「降りるまでもうちょっと。帰って回復次第、すぐ練習したい」。折れかけた王者の翼は、再び力強くはためき始めた。邪念を打ち払い、最強の「SEIMEI」を描いたとき、そこに新たな伝説が刻まれる。

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