設楽、日本記録更新しても五輪辞退の可能性 今後は海外マラソンへ

 練習を公開した男子マラソンの設楽悠太(右)。左は兄・啓太(共同)
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 男子マラソンの前日本記録保持者、設楽悠太(28)=ホンダ=が23日、宮崎市で合宿を公開し、出場を予定する東京五輪代表選考会の一つ、東京マラソン(3月1日)で大迫傑(ナイキ)の持つ2時間5分50秒の日本記録を更新した場合でも、残り1枠の五輪代表を辞退する可能性を示唆した。2時間4分台を目安としており、同大会が国内最後のマラソンになる可能性についても言及。今後は海外マラソンに挑戦していく意向を示した。

 東京五輪の開幕まで24日で半年。節目を迎える前日、設楽の口から思いがけない言葉が次々と飛び出した。

 「もし日本記録を破って選ばれても、2時間4分台で走らないと東京五輪を走る資格はないと思っている」

 東京マラソンで日本記録を更新すれば、五輪代表3枠のうち残りの1枠に滑り込む可能性はある。それでも「2時間5分で日本記録を出しても辞退すると思う。選ばれても納得しないというか、暑さに強い選手はたくさんいる」と、記録によっては五輪を辞退する可能性にまで言及。2時間4分台を五輪出場の自身の基準に掲げた。

 2時間4分台-。日本勢前人未到の数字なら世界と戦えると踏んでいるからだ。マラソンはスピード勝負、という持論もある。思い起こされるのが19年9月に行われた東京五輪代表選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。設楽はスタート後に飛び出し、37キロ過ぎに追いつかれるまで大逃げを計った。世界を意識した自身のスタイルだった。

 五輪への強いこだわりもない。前回リオデジャネイロ大会は1万メートルで29位。「走っても名誉しかついてこなかった。今は名誉のために走る必要はないと思っている。たくさんお金を稼げるところがスポーツの魅力。マラソンを目指す子どもたちのためにも、マラソンをがんばればこれだけ稼げると走りで伝えたい」と言い切った。

 東京マラソンで日本記録を更新すれば、設楽にとって2度目の報奨金1億円が手に入るが、それだけで終わらない。描くプランは海外マラソンの転戦。それが日本のマラソン界のレベルアップにもつながると信じている。

 現状には「もっとできる。ただ、みんながやらないだけ。守りに入っているだけ。そういう走りをしていても、見ている人からするとつまらない。前半から勝負していかないと絶対に勝てない」と警鐘を鳴らす。ボストンやロンドンなど世界最高峰のワールドマラソンメジャーズへの関心は高く、海外勢としのぎを削る目標もある。

 国内最後のマラソンになるかもしれない東京。選んだ理由は「記録を狙うとしたらそこしかない。それだけ」とシンプルだった。五輪出場への基準は2時間4分台。2時間6分11秒の自己ベストを持つ前日本記録保持者は、記録だけを見つめてスタートラインに立つ。

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