徳勝龍 あるぞ20年ぶり“幕尻V”恩師に届けた鎮魂星「しっかりやらないかん」

 「大相撲初場所・10日目」(21日、両国国技館)

 西前頭17枚目の徳勝龍が千代丸を突き落とし、自己最多を更新する8連勝で9勝目を挙げ、トップの1敗を守った。18日に急死した近大の恩師、伊東勝人監督の通夜に鎮魂星。2000年春場所の貴闘力以来、20年ぶり“幕尻V”、相撲発祥の地と言われる奈良出身では1922年1月場所の鶴ヶ浜以来、98年ぶりの優勝へ33歳が進撃する。正代も松鳳山を寄り切って1敗を守り、10日目を終えて平幕2人がトップで並ぶのは72年名古屋場所の豊山、高見山以来、48年ぶり。1差の2敗で大関貴景勝、平幕の豊山、輝が追う。

 188キロの徳勝龍が巨漢対決で動き勝った。千代丸の猛攻を左へ土俵半周してかわすと、右から突き落とし一撃。過去6戦全敗だった194キロの相手を土俵外へ吹っ飛ばした。

 33歳が元気いっぱい。自己新8連勝で9勝目をつかんだ。18日に急逝した伊東勝人監督が天国から見守ってくれている。「監督が亡くなって何か、やっぱり。自分は監督の『勝』の一文字を頂いている。その分しっかりやらないかん。変な相撲を取ると笑われそうな気がして。やらないかん」。徳“勝”龍の名にかけて勝利を積み重ねることを誓った。

 この日は監督の通夜で、供花を送った。明徳義塾高で目立った成績を残せなかった自身をスカウトしてくれ、近大で育ててくれた。「はたいていいんだ。でも前に出てからはたけ」との教えを胸に、プロでも戦ってきた。

 勝ち越したら真っ先に電話した監督はもういない。「声が聞けない。さみしい」とつぶやいた。「監督の分までとかそんな偉そうなことは言えないけど、どこかで見てくれている」と前を向いた。

 自身の出身地、奈良に監督の自宅があるのも縁。その故郷に98年ぶり優勝をもたらせば、供養ともなる。さらに、幕尻で賜杯を抱けば20年ぶりの快挙だ。

 角界で一大勢力、昭和61年(1986年)生まれの“花のロクイチ組”の1人。元横綱稀勢の里(荒磯親方)は引退したが、現在幕内では大関豪栄道、妙義龍、宝富士、碧山、勢、栃煌山、魁聖が奮闘する。「結構みんな三役を経験している。自分もという思いはある」と、大いに刺激にしてきた。

 10日目終わって平幕2人のトップ並走は48年ぶり。「経験の積み重ねで今がある」とベテランは今が満開。ビッグチャンスをつかむ時だ。

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