【元日本代表監督・高島規郎の眼】丹羽の持ち味を出させなかった戸上
「卓球・全日本選手権」(18日、丸善インテックアリーナ大阪)
男子シングルス準々決勝で、インターハイ王者の戸上隼輔(18)=野田学園高=が東京五輪代表の丹羽孝希(スヴェンソン)を4-0で破り、初の4強入りを果たした。準決勝は2年ぶりの優勝が懸かる張本智和(16)=木下グループ=と対戦する。女子シングルスは、伊藤美誠(スターツ)、石川佳純(全農)、早田ひな(日本生命)らが準決勝に進出。女子ダブルスは伊藤、早田組が3連覇を達成した。
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戸上には驚いた。丹羽はカウンターで返して自分のペースに持ち込んで勝つタイプだが、戸上のスピードと体のキレがそれを圧倒して、丹羽の持ち味を全く出させなかった。
戸上は5回戦で元世界選手権代表のカットマン、村松雄斗に4-0で勝ったことで、フォアの感覚をつかんだようだ。前陣でのバックにもキレがあったため、フォアへの切り替えに余裕が出て、コンビネーションが決まった。定評のある丹羽のサーブを苦にしなかったことも大きい。ダブルスで水谷、大島組を下したことも自信になっただろう。今が一番の伸び盛りだ。
2冠目の伊藤は、これまで「うまい」選手だったが、今はすごみのある「すごい」選手になった。両サイドの速攻をリスクをものともせず打ちまくり、しかも安定感がある。難しい球もつながず勝負できる。しっかりとフィジカルを鍛えてきた結果だろう。(75年世界選手権男子シングルス銅メダリスト、近大名誉教授)