貴景勝 故郷に鎮魂星「県民の支えに」兵庫出身力士が1・17に特別な思い

 「大相撲初場所・6日目」(17日、両国国技館)

 兵庫県芦屋市出身の大関貴景勝が阪神・淡路大震災から25年の故郷を追悼する4連勝で5勝目(1敗)を挙げ、トップと1差を死守した。難敵御嶽海に追い込まれたが逆転の突き落とし。大震災発生時は生まれていないが、特別な1・17に鎮魂星をささげた。平幕正代が栃ノ心を寄り切り、ただ1人、無傷6連勝。19年秋場所の隠岐の海以来、6日目で平幕が全勝で単独トップに立った。1敗で貴景勝、平幕遠藤、豊山、輝、照強、徳勝龍の6人が追う。

 被災故郷へ全力の相撲を届けた。貴景勝が押し込まれながら、右からの突き落とし。25年前は生まれてはいない。「経験していない自分が語るのは良くない」と言うが、「阪神・淡路大震災。俺は地元だから。阪神やから」と関西弁。1・17に特別な思いで、この日、追悼星をつかんだ。

 幼少期から学校で毎年、震災のビデオを見た。高速道路で半分、落ちかけたバスの映像は今も頭に残る。両親からも多くを教わった。「縦揺れがすごかったと。突き上げる感覚、爆発した感覚と聞いた。ひどいものだった」。受け継ぐ自身らが決して忘れてはいけない悲劇だった。

 「一生懸命頑張って取ったことが光というか、貴景勝の相撲が兵庫県民にとって精神的な支えになってもらえるように。まだ自分は力不足。相撲を極めて、(兵庫県民が)自然に力が湧く。今はただ土俵で頑張って、何か伝えられるものがあれば」。鎮魂の思いを胸に、さらに強くなることを期した。

 3日目から4連勝でトップと1差を死守。この日も含め一気に突き押す相撲は少ないが、左から、右から突き落としで逆転星をつかんでいる。「体が動いてくれた。体が勝手に動くようにやっている」。昨年苦しんだ右膝、左胸の負傷の不安はもう払しょくした。

 2横綱が不在の中、土俵を締める大関の使命をきっちり果たしている。宣言した初場所V&20年の綱とりへ、23歳が勢いを増してきた。

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