石川佳純が涙のV 五輪残り1枠争い、平野美宇との直接対決制した

 「卓球・ノースアメリカンオープン」(8日、マーカム)

 女子シングルス決勝が行われ、世界ランク10位の石川佳純(26)=全農=が同11位の平野美宇(19)=日本生命=を4-2で下し、優勝した。ここまで東京五輪選考レースのシングルス2枠目の争いでわずかに平野に後れを取っていた石川だったが、直接対決を制し、ポイントで逆転。最終決戦となるグランドファイナル(12日開幕・中国、鄭州)を前に優位に立ち、3大会連続五輪出場に近づいた。

 この試合に懸けていた。持てる力をすべて振り絞って、石川がライバルを打ち破った。平野の返球がネットに掛かり、勝利が決まると、両拳を2度振り下ろし、漏れ出る感情を抑えるように、口を手で覆った。それでも涙はあふれ出る。ベンチに戻ると、しばらくタオルに顔をうずめた。

 今大会前の平野との差は65点差。優勝すれば、ともに200点が加算され、負ければ0点。代表争いの決着こそつかないが、敗れれば、圧倒的に不利な状況で最終戦のグランドファイナルを迎えなければならない崖っぷちの中で迎えた大一番だった。石川はポイントが決まるたびに拳を握り、感情をあらわにした。「原点回帰」として18歳の時以来という黒に染めた髪を束ねたポニーテールが激しく揺れる。気迫で平野をのみ込んだ。

 し烈をきわめる日本のシングルス残り1枠争いは、王国からも注目を集めている。ライバルの中国メディアもこの一戦を大きく取り上げた。「騰訊体育」は、石川が号泣しながら取材に応える様子を動画で掲載。「今年はうまくプレーできず、調子の悪さを感じていて…。五輪の選考で、すごくプレッシャーを感じているけど、諦めずに支えてくれた人たちに感謝したい」と、万感の表情で話す26歳の姿がそこにあった。

 先手を奪って、最終戦を迎える形になったのは大きい。グランドファイナルでは、互いに相手より1つでも多く勝ち進めば、五輪代表に決定。ただ、同じ回戦で敗れれば、石川に軍配が上がる。ともに1回戦でランク上位の強豪と当たる見込み。組み合わせはまだ決まっていないが、代表争いの主導権は石川が握っている。

 4年ごとに激しさを増してきている卓球女子の五輪レース。自国開催の夢舞台を巡る女の戦いは、いよいよクライマックスに突入する。

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