羽生SP2位発進 25歳誕生日、奇跡の逆転劇へ自身初4回転4種5本決める!

 「フィギュア・GPファイナル」(5日、トリノ)

 男子ショートプログラム(SP)が行われ、ソチ、平昌五輪2連覇の羽生結弦(24)=ANA=は97・43点で2位発進した。首位は今季SP世界最高点をマークしたネーサン・チェン(米国)で、110・38点。12・95点差を追う形。一夜明けた6日の公式練習後に羽生は、逆転を目指すフリーではルッツを含む4種類の4回転ジャンプを計5本跳ぶ考えを示した。男子フリーは、羽生の25歳の誕生日、7日(日本時間同日午後9時)に行われる。

 らしくない。淡々と、悔しさをかみ殺し、自身へのいらだちを隠しながら、羽生は言葉を絞り出していった。

 「あとはもう自分の演技だけでどうこう決まるもんでもないんで、自分の結果に関しては特に。自分の結果をしっかり取りに行くためにも、自分が何をすべきか、何ができるのかを考えなきゃいけないなと思います」

 12・95点。あまりにも大きな差を突きつけられた。完璧な演技を見せたチェンに対し、羽生は演技後半の4回転-3回転が単発の4回転トーループに。勝負どころで「あまりないパターン」のミスが生じて今季自己最低点にとどまり「やっぱり自分もいい演技して、彼と最高の戦いをしたかった」とこぼした。

 闘志をたぎらせるでもなく、淡々と。「悔しいはすごいあるんですけど、悔しいって言っててもしょうがないので。とにかくフリーに向けて、これからこの一分一秒をどうやって過ごすか。しっかりやっていかないといけないなって思います」。前を向こうともがくように、懸命に言葉を並べ続けた。

 勝負の銀盤へと向かう羽生の隣に、コーチの姿はない。今大会は1選手につき1枚しかコーチ用IDが出ず、試合にはジスラン・ブリアン・コーチが帯同予定だったが、アクシデントで現地入りが遅れているという。しかしその影響については「自分はしっかり分析できていると思っているし、それが原因でミスしたとは全く思えない。いようがいまいが、あのミスは出てしまうものだろうなと思っているので。自分の実力不足だと思います」ときっぱり否定した。

 これまでの羽生の最大逆転は10・66点だが、フリーの今季ベストは羽生がチェンを16点以上も上回る。チェンはミスがあっての得点だが、可能性はゼロではない。4回転ルッツも「気持ちは入れたい」とし、約2年ぶりに実戦投入する予定だ。6日の公式練習でもルッツを含めた4回転4種類5本の構成で挑み「そのつもりでやります」と力強く語った。

 4回転4種5本は決めれば自身初。ジャンプの基礎点は83・58点で、これまでの3種4本(76・08点)より7・5点上がる。これはチェンの82・23点も上回っており、少しでもベースとなる得点を高め、1%でも逆転の可能性を広げようという試みだ。羽生の辞書に諦めの文字はない。

 フリーが行われる7日は羽生の25歳の誕生日。新たな伝説を紡ぐには、これ以上ないとっておきの日だ。「とにかくベストを尽くして笑顔で終われれば」。奇跡の大逆転へ、最高のプレゼントを自らに贈る。

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