阿部詩 悔し泣き準V 49戦目で外国選手に初めて苦杯…兄に続けず五輪持ち越し

 「柔道・グランドスラム大阪大会」(22日、丸善インテックアリーナ大阪)

 東京五輪代表選考会を兼ねて行われ、女子52キロ級で世界選手権2連覇の阿部詩(19)=日体大=は決勝で世界ランク1位のアマンディーヌ・ブシャール(フランス)に延長で優勢負けし、代表内定を逃した。男子66キロ級は17、18年世界王者の阿部一二三(22)=日体大=が、決勝で19年世界王者の丸山城志郎(26)=ミキハウス=を延長の末に優勢で下し、丸山の東京五輪代表内定を阻止。きょうだいでの五輪出場へ望みをつないだ。

 まさかの波乱が起きた。圧倒的な戦績で五輪代表に“王手”を懸けていた阿部詩だが、決勝は延長戦にもつれ込むと、肩車で技ありを食らい優勢負け。「最後はちょっとビビってしまって技を受けてしまった」。対外国人49戦目にして初めての黒星は五輪切符確定を逃す痛恨の1敗。「情けないし、すごく悔しい」。畳を降りる前から涙があふれ出した。

 代表内定が懸かるプレッシャーは目に見えない形で襲ってきた。「考えないようにしていたが、決勝前には頭によぎった」。親指を突き指したという右手は大会前から分厚いテーピングで覆っていた。けがの影響は否定したものの、初戦から得意の担ぎ技は不発で「出せなかった」。決勝は過去4戦無敗とカモにしてきた相手に苦杯を喫した。「相手の組み手も今までと違った。自分の気持ちの部分で勝たないとと思いすぎた」。敗因を自身の心の中に求め、「五輪レースはこんなにも過酷なんだと…今感じる」とかみしめた。

 代表争いの厳しさを人一倍感じているであろう兄一二三は、詩の決勝直前に優勝を決めきょうだいでの五輪出場へ望みをつないだ。「さすがお兄ちゃんだなと。自分もやってやろうとさらに覚悟が決まったと思ったが、最後に自分の甘さが出た」と唇をかんだ。

 自身は18年4月の全日本選抜体重別選手権以来となる負けを喫し、代表権獲得は12月のワールドマスターズ(中国)以降に持ち越しとなった。「神様がくれた試練かなと思う。この負けがあって良かったと言えるように、次は隙を見せないようにしたい」。負ける度に強くなってきた19歳。助走が長くなった分さらに進化するしかない。

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