「大相撲九州場所」（１０日初日、福岡国際センター）

　左大胸筋肉離れの重傷から再起を期す大関貴景勝（２３）＝千賀ノ浦＝が１日、福岡県大野城市の田子ノ浦部屋で二所ノ関一門の連合稽古に参加し、関取衆との稽古を再開させた。幕内隆の勝（千賀ノ浦）、輝（高田川）、阿武咲（阿武松）相手に計８勝２敗。関取相手に相撲を取るのは秋場所千秋楽以来、４０日ぶりで、上々の感触をつかんだ。

　幕内申し合いの終盤、貴景勝が動いた。まずは同部屋の隆の勝を指名。踏み込みを確認し、相手の押しも胸で受けこらえた。

　４戦全勝としたところで見守った高田川親方（元関脇安芸乃島）が「同じ部屋でやるな。下がれ」、「連合で（同部屋力士で）やるな」と一喝。強制的に相手が変更となった。輝に最初の一番は押し出されたが、その後は力強く２連勝。阿武咲にも２勝１敗と勝ち越した。

　「負荷が違うから最初はどうかと思った。体はしっかり動いてくれたので良かった。左胸に痛みはない。相手どうより自分がどういう動きができたか」。関取の圧力を受けても患部は問題ない。「同じ所をもう１回ケガしないように高めていきたい」と力を込めた。

　先場所は１２勝を挙げて１場所で大関に返り咲いた。一方で千秋楽、関脇御嶽海（出羽海）との優勝決定戦で左胸に重傷を負った。負傷後１週間は患部の周囲が紫色の内出血で覆われるなど痛々しかったがスピード回復。１６日に秋巡業に途中合流し、基礎運動で下半身をじっくり作った。

　復活への関門をまたクリア。尾車親方（元大関琴風）は「（本場所で対戦の可能性が低い）あの辺とやっているようではまだまだ。押し相撲だし思い切っていけばいい。もう１週あるから」と話した。芝田山親方（元横綱大乃国）は「先場所、あれだけの相撲を取っているから心配ない」と信頼した。