前代未聞のマラソン開催都市変更案 酷暑で棄権者続出のドーハ世界陸上が引き金に

 国際オリンピック委員会(IOC)は16日、猛暑が懸念される東京五輪陸上のマラソン、競歩について、札幌で開催することを検討すると発表した。IOCによると札幌は五輪期間中の気温が東京よりも5~6度低いという。日本陸連や組織委関係者からは戸惑いの声が上がった。

 かねてから猛暑への懸念があった東京五輪でのマラソン、競歩だったが、五輪本番まで300日を切った中で、異例となるマラソンコースの変更、しかも、東京から800キロ離れた札幌という開催都市が変わるという前代未聞のプランが浮上した背景には、9、10月に同じに酷暑の中で開催されたドーハ世界選手権での悲惨な状況があった。

 暑さを考慮し、マラソン、競歩とも23時30分以降の真夜中開催となったが、気温は30度以上、湿度70~80パーセントでの悪条件の中でのレースが続き、棄権者が続出した。大会初日の27日にスタートした女子マラソンは出走68人のうち28人が途中棄権。完走率は過去最低の58・8パーセントとなった。優勝したチェプンゲティッチ(ケニア)のタイム2時間32分43秒は07年大阪大会の2時間30分37秒よりも2分遅い歴代最遅記録。翌日の男女50キロ競歩でも同様の結果が続き、今後にダメージを残しかねない消耗戦を強いられた選手からは「選手をモルモットにしている」「アスリートに敬意がない。多くのお偉方がここで世界選手権をすることを決めたのだろうが、彼らはおそらく今、涼しい場所で寝ているんだろう」などの厳しい声がとび、各国のメディアからも猛批判を浴びた。IOCのバッハ会長は、ドーハで暑さへの対応が問題となったことを受け、さらに暑熱への対策を東京側に求めていく考えを示していた。

 9月に五輪のテストを兼ねて行われた東京五輪代表選考会・MGCでは、選手側は本番を想定し準備し、警備やボランティアなど運営面でもシミュレーションを行われただけに、すべてが白紙に戻ることになる。関係者によればまだ札幌や陸連に正式な打診はない状態。宿泊や交通などの問題も出てくるとみられ、今後、複雑で慎重な調整が求められることになる。

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