立呼び出しの拓郎が後輩2人に暴行 客席のいすで食事に怒り拳で頭部、背中もたたく
日本相撲協会は16日、立呼び出しの拓郎(63)=春日野=が後輩呼び出し2人を暴行し、退職の意向を示していることを発表した。今月8日に行われた新潟県糸魚川市の秋巡業で序二段と幕下の呼び出し2人に対し、暴力行為があった。
拓郎は呼び出しの最高位である立呼び出しの地位にある。退職届は協会預かりとし今後、コンプライアンス委員会の調査を委ね、結果をもとに判断する。
協会発表によれば、糸魚川巡業中の午前7時、序二段呼び出しが客席の椅子に座り食事をしていたところ、拓郎が「なんで、こんなところで食事をしているんだ」と注意しながら頭部を拳で1回殴った。その後、近くにいた幕下呼び出しに対し「兄弟子が見ていて、なぜ注意しないのか。しっかり見てやらんか」と言いながら、背中を1回たたいた。
殴られた両呼び出しにケガはなかった。
背中をたたかれた幕下呼び出しが協会職員に報告し事案が発覚。春日野巡業部長(元関脇栃乃和歌)が当事者らから聞き取りをし、大筋で事実と確認。コンプライアンス委員会の鏡山部長(元関脇多賀竜)に報告した。
拓郎は両呼び出しに謝罪後、自宅謹慎となった。拓郎からは「協会が暴力の根絶に取り組んでいる中、呼び出しトップで指導する立場でありながら後輩の呼び出し2人に暴力をふるい、大変申し訳ありません。退職して責任を取りたい」と、申し出があった。
呼び出しの暴力に関する処分事例はこれまでなく、協会は退職届をQ預かり、今後はコンプライアンス委員会に調査と処分意見の答申が委嘱された。
角界では先日、2度目の暴力問題を起こした十両貴ノ富士(千賀ノ浦)が引退したばかり。両事案を踏まえ、再発防止策の強化策を11月の九州場所後までにまとめる方針だ。