貴景勝 大関復帰率100%!吉兆データ慢心なし 朝乃山圧倒の3連勝
「大相撲秋場所・3日目」(10日、両国国技館)
右膝を負傷して先場所全休し大関から陥落した関脇貴景勝が幕内朝乃山をはたき込みで一蹴し、初日から3連勝に伸ばした。V経験者対決に馬力勝ちし、大関復帰ロードを快進撃だ。かど番制度導入の69年以降、大関から陥落した場所で初日から3連勝は5人おり、全員が10勝に到達。“大関返り咲き成功率”は100%とデータも後押しする。横綱鶴竜が碧山をはたき込み無傷3連勝。かど番大関は栃ノ心が初白星を挙げたが、豪栄道に土が付いた。
貴景勝の爆発的な突進が朝乃山の策をすべて粉砕した。猛烈な踏み込みで相手のかち上げの威力はゼロ。上手狙いも封じた。押し上げてから相手の足がそろった瞬間、はたき込んで土俵に沈めた。
「差されたり(まわしを)取られたら負ける。突き放す展開なら自分が有利。それだけを頭に入れた」と狙い通りに仕留めた。
自身が途中休場した夏場所で初優勝した朝乃山をテレビで見ていた。「強い。スケールが大きい。本格派だし負けたくない。頑張りたい」。警戒していたが、1秒8の一蹴劇。V経験者対決を制し、勢いを加速させた。
大関陥落場所で無傷3連勝は過去5人おり、全員が10勝。データ上、“返り咲き成功率”は100%だ。
春、夏場所と出場した2場所連続で黒星を喫した“苦手”の3日目を突破。「勝たないといけない世界。そういう面でも良かった」とうなずいた。
負傷後、肉体を限界まで追い込み鍛えた。先場所後、ベンチプレスで挙げた170キロが場所前の8月、230キロと60キロもアップした。「100持ってる力で120を出すから、ケガをする。150持ってれば120で80%だから」。筋力、馬力、攻撃力すべての「パワーアップ」を確信する3連勝となった。
あと7勝とまた一歩前進したが、23歳は心を緩めない。「まだ3日。ここから3勝12敗の可能性は全然ある。気持ちの振り幅を持たせず淡々とやる」。4日目は先場所殊勲賞の新鋭、友風。険しい大関復帰ロードは続く。