貴景勝が“流血星”発進 大栄翔と突き押し合戦!右足で猛攻耐え逆転「膝は大丈夫」

 「大相撲秋場所・初日」(8日、両国国技館)

 右膝負傷で先場所を全休し大関から陥落した関脇貴景勝(23)=千賀ノ浦=が平幕大栄翔を大激闘の末、突き落としで下し、116日ぶりの白星を挙げた。テーピングなしの右膝で相手の猛攻を踏ん張って逆襲。10勝を挙げれば可能な大関復帰ロードを気迫全開にスタートした。場所前に日本国籍を取得した横綱白鵬は平幕北勝富士の寄り切りに屈し“日本人黒星発進”。07年名古屋場所の横綱昇進後、初めて初日に金星を配給した。北勝富士は6個目の金星。先場所Vの横綱鶴竜は遠藤を一蹴。かど番の両大関は豪栄道は勝ち、栃ノ心は敗れた。

 貴景勝が全快を証明する流血の熱闘だった。112日ぶり戻った聖地の本土俵。大声援に体も心も燃えた。埼玉栄高の先輩で同じ突き押し相手に真っ向勝負。激しい攻防からいなされ、前のめりになったが右足で耐えた。

 逆襲に転じ最後は強烈、左から突き落としで相手をはわせた。13秒7の劇勝に右の鼻から血がたらりと流れた。右膝に大けがを負った夏場所4日目以来、116日ぶり白星で復活のろしを上げた。

 「相撲に喜びを感じてやろうと思ったけど始まったら覚えていない。気持ちで負けないように。皆さんに久しぶりに相撲を見せられて、久しぶりに自分の仕事に帰ってきた」と、感無量だった。

 右膝にサポーターはなし。動きを制限して勝てる程、幕内は甘くはない。「膝は大丈夫。どうかなと思うと怖がっちゃう」と不安を気持ちで払しょく。「簡単にはいかない。負ける覚悟はしていた」と腹はくくっていた。

 周囲もひと安心だ。八角理事長(元横綱北勝海)は「こういう相撲を取れば自信になる」とうなずいた。土俵下で見た審判長の藤島副部長(元大関武双山)は「足も動いて残っている。力を出すことだけ考えれば(10勝)いける」と評価した。

 リハビリ中、自身と向き合い続けた。大関になり「守る」意識が出ていた。「調子に乗っていた。楽をしていた」と反省した。

 締め込みはシルバーから昨年九州場所で初優勝した時の紫に戻した。「大関をつかみ取る前の自分を思い出せたらと。昔の自分に戻って、昔があるから今の自分がある」。原点からの再出発だった。

 1場所で大関復帰は過去5人6例あるがすべて初日から連勝している。2日目は夏場所8日目、再休場に追い込まれた相手、碧山戦。“因縁”を突破し、復活ロードを加速させる。

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