スポーツクライミング森秋彩、リードで銅 15歳10カ月日本史上最年少メダル

 「スポーツクライミング・世界選手権」(15日、エスフォルタアリーナ八王子)

 リード女子決勝が行われ、森秋彩(15)=茨城県連盟=が3位となり、銅メダルを獲得した。2005年大会のリード女子で銅メダルを獲得した野口啓代の16歳を塗り替える日本史上最年少でのメダルとなった。ボルダリングで銀メダルを獲得した野口啓代(30)=TEAM au=は5位。ヤンヤ・ガルンブレト(20)=スロベニア=がボルダリングに続く2冠を達成した。男子決勝の日本勢はボルダリングを制した楢崎智亜(23)=TEAM au=が4位、原田海(20)=日新火災=が7位だった。

 154センチ、43キロの体には、底知れぬ負けじ魂と闘争心が搭載されていた。

 多くの選手が落下したタフな中盤戦。森はミスを犯した。「ムーブを間違えた」。最大傾斜135度の位置に2つ並んだ円形ホールドの間で足を置く位置を間違え、四苦八苦。万事休すかと思われた。それでも日本のファンの声援に後押しされ、窮地を脱すると、消耗した体で必死に手足を伸ばし続け表彰台ラインの高度に到達。「もう1手伸ばせていれば銀メダル。悔しさ70%、うれしさ30%」。表情を崩さず淡々と振り返る姿は15歳には見えなかった。

 シニアデビューの今季に向け、肉体改造に取り組んだ。練習でヘトヘトになった後、「涙を流しながら」さらに高強度の登りの課題を敢行。1年で体重は8キロ増。細かった食は、キングサイズ牛丼を平らげるようになるほどたくましくなった。その成果を初の世界最高峰の舞台で見せつけた。

 歴史を紡ぐメダルだ。15歳10カ月でのメダルは、05年大会のリードで銅メダルを獲得した野口啓代の16歳2カ月を塗り替える日本最年少記録。その野口は東京五輪での現役引退を表明しており、これが最後の世界選手権。「クライミング界を引っ張ってきた存在。寂しい」と話していた憧れの存在を上回ってみせた。野口も「小さい時から見ているけど、すごい努力家。私にないものを持っている」と、年齢が半分の後輩の成長に目を細める。

 18日からの複合でも、十分に五輪出場権を狙える存在だ。「パリが目標だったけど、東京もなくはないかな」と話す15歳の小さなファイターが、夢の切符をつかみにいく。

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