照強 幕尻Vへ2敗守る 先人の“極意”継ぐ小兵「体重イコール重さじゃない」

 「大相撲名古屋場所・11日目」(17日、ドルフィンズアリーナ)

 169センチの小兵、平幕照強が錦木を押し出し9勝目(2敗)を挙げ、トップと2差を死守しV戦線に食らい付いた。元横綱日馬富士や前日に引退を発表した業師、安美錦ら兄弟子から“極意”を継ぐ24歳が覚醒。00年春場所、貴闘力以来の幕尻Vへ突っ走る。大関高安が左肘負傷のため休場し、昭和以降初めて4大関が不在となる異常事態となった。対戦予定だった横綱白鵬が不戦勝で10勝目。横綱鶴竜が無傷11連勝で単独トップを守り、1敗で白鵬、2敗で平幕の友風、照強が追う。

 4大関が全員消えた異常事態の名古屋で身長169センチの照強が輝いている。互いに突っかけて3度目立ち合い、頭から突進し一気に出た。お手本のような両ハズで下からの押し込み。自身より19センチも長身、64キロ重い錦木を後退させ攻め切った。

 「今場所、一番の相撲。11日目、ここにきて一番が出るか。気持ち?充実している」と、舌も滑らかだ。

 前日、幕内3場所目で初めて勝ち越し、9勝まで星を伸ばした。幕内で炎鵬に次ぐ小兵ながら初日以外8勝の決まり手は“押し”。自身より巨漢相手に押し勝っているのだ。

 先場所、立ち合いで足を取りに行った相撲で師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に言われた。「当たっていかないと次はないよ。次に変化しても相手は食わない。真っ向勝負が相手は嫌なんだ」

 “小よく大を制す”は兄弟子から極意をたたき込まれてきた。元日馬富士の稽古相手を務め小柄でも力の伝え方があることを教わった。天才業師の安美錦の動きを見て盗んだ。

 「体重イコール重さじゃない。低さ、角度、スピードが重なって重さになる。それはうちの横綱(元日馬富士)が証明している」

 幕下時代、場所中でも1日60、70番の番数。合宿なら100番以上、積み重ねた。兄弟子らに食らい付いた稽古が今の土台になる。

 12日目は3敗の妙義龍戦。V戦線生き残り戦が始まる。「気持ちを持っていって自分の相撲に集中」。95年1月17日、阪神淡路大震災の日に生まれた。被災地を“強く照らす”運命を持つ力士。幕尻Vの夢へ勝ち続けるのみだ。

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