安美錦 不屈の40歳が引退 2日目に負傷し休場、再出場かなわず

 「大相撲名古屋場所・10日目」(16日、ドルフィンズアリーナ)

 現役関取最年長の人気業師、元関脇で西十両11枚目の安美錦(40)=伊勢ケ浜=が現役引退することが16日、決まった。15日までに師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に引退を申し入れ、了承された。2日目の8日、竜虎戦(尾上)で古傷の右膝を負傷し休場。再出場は厳しく来場所、幕下陥落が確実となり精根も力尽きた。近日中に引退会見を開く。今後は年寄「安治川」を襲名し、後進の指導に当たる。

 不屈の40歳、安美錦がついに燃え尽きた。この日、名古屋市内の宿舎で伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)が引退届を出すことを明言。その後、本人が熟慮の末の決断を語った。

 「出ようと思って最善を尽くした。中日、勝ち越しが消えた。土俵に上がって勝とうと思ってやってきた気持ちに変化があった」。再出場がかなわず、気力は持たなくなった。

 2日目に痛めた右膝は過去、前十字じん帯断裂、半月板損傷など何度も大けがをしてきた古傷。5日目の11日に稽古を再開し再出場を視野に入れていたが、もう限界だった。

 「初めて今後のことを考えた。出てまたけがしたらどうしようと。気持ち的に弱くなった。初めて出る選択肢以外のことも考えた。勝負師として一線を引く時かな」。苦労をかけられ続けた右膝に「また最後、お前にやられたのか。いい相棒だった」と語りかけた。

 プロ23年目。関取在位はトップタイの117場所。2003年初場所、平成の大横綱・貴乃花の最後の相手で貴乃花から初金星を奪った。希代の技巧派として記録も記憶も大相撲史を刻んだ。大けがにもあきらめない姿は多くのファンを魅了した。

 「やれることをやって出した結果。悔いはない」。親方から最後に1日だけ土俵に上がり、区切りにする案も提案されたがスパッと身を引いた。「すっきりして次に向かってスタート。未練はない」と、笑みを浮かべた。

 前日もこの日の朝も稽古場に下りた。「ずーっとやってきた稽古場。なんとなく行った。指導できることもあるかなと。体を動かして胸を出せるように」。レジェンドの魂は新時代「令和」の力士に受け継がれる。

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