引退の安美錦、古傷・右膝悪化で決断 またケガしたら…「勝負師として一線引く時」

 「大相撲名古屋場所10日目」(16日、ドルフィンズアリーナ)

 人気ベテラン業師、元関脇で西十両11枚目の安美錦(40)=伊勢ケ浜=が16日、現役引退を表明した。14日に師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に引退を申し入れた。一晩よく考えるよう促されたが再び話し合った15日も考えは変わらず、親方から了承された。

 名古屋市内の宿舎でこの日、朝も稽古場に下り、体を動かした。親方がこの日、引退届けを出すことを明かした後、本人も報道陣に対応した。

 2日目、竜虎(21)=尾上=戦で右膝をまた痛めた。前十字じん帯断裂、半月板損傷など何度も大けがをしてきた古傷。5日目の11日に稽古を再開し再出場を視野に入れていたが、もう限界だった。

 8日目、勝ち越しが無くなったことで気力もついえた。「出ようと思ってずっと最善を尽くしたが中日、勝ち越しが消えた。土俵に上がって勝とうと思ってやってきた気持ちに変化があった。すーっと決断した。ケガして治療して、もう1回と思ったけど初めて今後のことを考えた。出てまたケガしたらどうしようと。今まで思ったことないことを考えた。弱くなった。初めて出る選択肢以外のことも考えた。そこは勝負師として一線を引く時なのかな」。

 古傷の右膝には「また最後、お前にやられたのか。いい相棒だった」と語った。

 23年目、関取在位は魁皇と並び、トップタイの117場所。平成の大横綱・貴乃花の最後の相手で、貴乃花から金星を奪った。業師として、数々の名勝負を繰り広げ、あきらめない姿は多くのファンを魅了した。

 「残念な部分はあるけどやれることをやって出した結果。悔いはない」。親方からは最後に1日だけ土俵に上がることも提案された。場所後には故郷の青森巡業もあり、現役力士として凱旋することもできたが、スパッと身を引いた。

 「巡業も大事だけど、本場所が大事と思いやってきたから。気持ちをすっきりして次に向かって新しくスタートを切るべくやっていく。(十両)残留の目が無くなってスパッと。未練はない」と、笑みを浮かべた。

 21歳の竜虎が最後の相手になった。「いい相撲だった。投げられなかったのは向こうのが力が上だった。何も悔いはない。若い子にバトンタッチできて俺はうれしい」と、万感の思いだった。

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