朝乃山、25日にも初V 異例6分審議の末に11勝目「あ、勝ったんや」

 土俵際、栃ノ心(左)を攻める朝乃山(撮影・西岡正)
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 「大相撲夏場所・13日目」(24日、両国国技館)

 平幕朝乃山が関脇栃ノ心を寄り切って自己最多タイの11勝目を挙げた。物言いが付き、6分余りに及ぶ異例審議の末、行司軍配差し違えの“逆転劇勝”。横綱鶴竜が敗れて3敗に後退し、再び単独トップに立った。14日目に朝乃山が大関豪栄道に勝ち、鶴竜が栃ノ心に負ければ朝乃山の初優勝が決まる。三役経験のない平幕Vとなれば1961年夏場所の佐田の海以来となる。1場所で大関返り咲きとなる10勝目を“判定負け”で逃した栃ノ心は悔し涙を流した。

 互いに人生の懸かった大一番。生き残ったのは朝乃山だった。物言いが付き、異例の6分以上に及ぶ審議の末、審判長の阿武松審判部長(元関脇益荒雄)がマイクを取った。

 「軍配は栃ノ心に上がりましたが栃ノ心のかかとが出ており東方の勝ちといたします」

 まさかの行司差し違えにどよめく館内。「負けたと思ってた」と長時間、土俵下であきらめモードの朝乃山も「あ、勝ったんや」と、ビックリだった。

 勝利の女神がほほ笑んだ“判定勝ち”だが、相撲は圧倒だった。頭からかまして左上手を先に取って一気の電車道。自己最多タイ11勝目をもぎ取った。

 春巡業で毎日稽古を付けてくれたのが栃ノ心。「恩返しがしたかった。勝ち負けにこだわらず前に出た」と、感謝の気持ちを胸にすべてを出し切った。

 追い風は確実に吹いている。結びで鶴竜が高安に敗れ、朝乃山が再び単独トップに立った。14日目にも初優勝が決まる。祝賀会用のタイの話に及ぶと「そこはブリでしょう」と富山の名産を出し、地元愛を全開にした。

 17年1月、富山商相撲部の恩師、浦山英樹監督が亡くなった。今場所は同監督の名前が入った化粧まわしを初日から着けている。「令和になって初めての場所。(化粧まわしを)どれか悩んで、ふっと先生と一緒にいこうと」。天国から力を貸してくれている。

 先生の遺書、数珠、お守りをきんちゃくに入れ、いつも場所に持ち込む。病床で書いたであろう震えた文字の遺書は何度も読み返し、今は空で言える。

 「石橋、お前はよく相撲を頑張っている。俺の誇りだ。横綱になれるのは一握り。お前はその無限の可能性がある。富山のスーパースターになりなさい」

 富山出身では名横綱太刀山以来、103年ぶり優勝はもう夢ではない。

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