【東京へ駆ける・卓球】世界ランク上位2人に五輪切符 カギは「T2ダイヤモンド」

 卓球の世界選手権個人戦が21日にハンガリー・ブダペストでいよいよ開幕する。世界のトップ選手が集うため東京五輪の“前哨戦”であると同時に、試合成績によって得られるポイントが最も高いだけに、来年1月発表の世界ランキング上位2人が五輪シングルス代表に決まる日本選手にとってはランキングを上げる絶好の機会だ。また、今年新設される「T2ダイヤモンド」という未知の大会も代表争いで大きなカギを握りそうだ。東京五輪の代表選考方法をあらためて整理しながら、世界選手権を展望する。

 東京五輪に向け卓球は人気、実力共に最も上昇している競技の1つだが、日本代表として五輪に出場できるのはシングルス2人と団体戦1人を加えた男女各3人のみ。19年1月から1年間の成績を加算した20年1月発表の世界ランキング上位2名がシングルス代表に決まるが、特に女子は4月時点で上位3人が2000点差以内にひしめき、40位以内に10人が名を連ねる大激戦となっている。このし烈な争いの中から一体誰が抜け出すのか。今回の世界選手権での成否が大きな分かれ目となるのは間違いない。

 改めて、代表争いの命運を握る世界ランキングとはどういう仕組みなのか。

 国際卓球連盟(ITTF)が制定する国際大会での成績を基にした順位で、直近1年間で成績のいい8大会の獲得ポイントを合計して競われる。得られるポイントは大会のグレードごとに決められており、1つ勝ち進むごとに高くなる。五輪と世界選手権個人戦が最も格が高く、優勝した場合は3000点。通常大会では年間6試合が予定されているワールドツアー・プラチナが最も高い。

 また、ポイントの有効期限は原則1年間だが、世界選手権(個人戦、団体戦)、グランドファイナル、W杯、大陸選手権・杯は次の同一大会まで有効となる。例えば、伊藤美誠が18年5月の世界選手権団体戦で獲得した2000点は、20年1月発表の世界ランクでは有効となる。

 そして、日本代表争いに大きな影響を及ぼしそうなのが、今年になって新設が決まった「T2ダイヤモンド」だ。前述したように世界ランキングは成績のいい上位8大会の獲得ポイントが合計されるが、この「T2ダイヤモンド」のポイントは通常のポイントとは別に“ボーナスポイント”として加算される。優勝した場合のポイントは1000点だが、T2ダイヤモンドは今季3大会(7月・マレーシア、9月・中国、11月・シンガポール)開催されるため、最大3000点上乗せすることが可能となるのだ。

 ただし、T2ダイヤモンドに出場できるのは19年1月以降のワールドツアー、ワールドツアー・プラチナでの成績上位15選手。狭き門となるが、前半戦のツアー大会で成績を残すことができれば、出るだけでおいしい“ボーナスステージ”に進むことができる。また、大会アドバイザーに就任した日本協会の宮崎義仁強化本部長によれば、試合時間短縮を目指すこの大会は通常のツアーなどとはルールが異なる見込み。「1ゲーム目からジュースなし(11-10で決着)とか、サーブは15秒以内とかを試行錯誤する」と示唆している。

 「T2ダイヤモンド」の存在も含めて、ランク下位からの“下克上”での代表入りも不可能ではない。最近では17年5月時点で69位だった張本智和が、同年世界選手権で史上最年少での8強入りを果たし、同年9月には13位まで急上昇した例もある。

 代表争いは残り8カ月。12月のグランドファイナルまでもつれることは必至だが、今回の世界選手権が大きな分かれ道だ。世界選手権には中国トップ選手が男女各5人出てくるため、各2人の五輪よりも勝ち上がることが難しい。ただ、リオ五輪以降は張本や伊藤を中心に日本勢も金星を挙げる場面が増えている。男子は40年ぶり、女子は50年ぶりの金メダルも決して夢ではない。

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