「女人禁制」見直し求める中川智子・宝塚市長 芝田山広報部長と面談

 「大相撲春場所」(10日初日、エディオンアリーナ大阪)

 日本相撲協会に土俵上の「女人禁制」を見直すことを求めてきた兵庫県宝塚市の中川智子市長が8日、大阪市のエディオンアリーナ大阪で同協会広報部長の芝田山親方(元横綱大乃国)と約50分、面談した。昨年4月、東京・両国国技館を訪れ要望書を提出。約11カ月が経過し検討状況などを直接確認するため訪れた。

 芝田山親方からは、昨年7月に「女性と土俵に関する調査委員会」が尾車事業部長(元大関琴風)を委員長に外部委員も含め立ち上がったことや、5月までに第一回会合が開催され、今後の調査方法などが協議される、という説明がなされた。

 説明を受けた中川市長は会談後の会見でこう話した。

 「女性と土俵というテーマの結論は何年かかるか分からないというお話でした。これからどういうやり方でやろうかという委員会が立ち上がっただけなので、結論は何年先になるか分からない。その話の後に、やはり相撲というのは埴輪の時代から形が現れていて、女性を一切土俵に上げないという、なにしろ守り続けてきた大事な伝統だ、これが相撲の文化だと。私も鍛錬とか厳しいとか言うのは、野球でもラグビーでもどんなスポーツでも一緒じゃないですかと申し上げましたら、相撲だけは別格だということをお話になりました。相撲は他のスポーツと全く違うと。独自の伝統と文化に支えられている。それは国も公益財団法人として認めているしという話がありました」。

 会談の最後には中川市長が、兵庫県の弁護士会から会長声明が出されたこと、憲法の女性差別にあたる、外国との国際的な条約違反ではないかという会長声明に言及。「私がこの状態が続くんであれば女性として人権が侵害されている気持ちがするとお話すると、すごい激怒されまして、そういうことを言う方が人権、いわゆる侵害だと言われました。すごい怒られてしまいまして、人権侵害だとか憲法に抵触するとかそういうことは話にならないとおっしゃいました。こういう大事な伝統を次の世代にバトンタッチしていくのが、我々の大事な仕事なんだと。女性の総理大臣が誕生したらどうするんだとお話したら、それはその時考えるとおっしゃいました。その時委員会をつくって意見を聞くと。だけど女性を土俵に上げないということは守っていくつもりだとおっしゃいました。親方との話し合いというのは、そこに大きな川が横たわっているという印象を受けましたし、人権侵害だと思っていない、差別しているつもりは全くないとおっしゃった時に、女性が感じるならそれは差別ではないかとお話ししたが、私のほうが間違っているということでした」と激怒され、“物別れ”に終わった。今後の会談予定も白紙で中川市長は無念さをにじませた。

 芝田山部長は「市長に言われた調査のこと。約束したことを守っている。去年7月に調査委員会を立ち上げた。前回も何十年もかけてやっている。4、5月くらいに第一回会合を開く。どういう風に調査をやっていくのか。これからどう進めるかを話し合う。約束したことは守りますよ」と伝えた。

 中川市長から「変革だから変える勇気をもってと言われた」芝田山部長は「私は変えない勇気を持ってやっていると。受け継いできた伝統だから変えない勇気を持ってまい進したいと伝えた」という。

 中川市長がずいぶん怒られたと会見で話したことも伝え聞き、「相撲のことを知っているようで知らない。稽古も見たことがあるのかどうか知らないけど、相撲のことを勉強してきてくださいと。サッカーとかいろいろなスポーツのことを言っていたけど相撲は違う。相撲は埴輪のころから始まっている。きのうきょうの歴史じゃない。相撲のことをもう少し勉強してほしい」と訴えた。

 土俵の「女人禁制」問題は昨年4月、京都府舞鶴市の春巡業で男性市長が土俵で倒れ、救命の女性に対し土俵を下りるよう促した場内放送が批判を招いた。続く宝塚市での巡業では女性は土俵に上がれないとの伝統を理由に、中川市長が土俵下の台上に上がりあいさつすることとなった。

 一連の騒動の渦中、中川市長が同年4月、男女とも同じ扱いを日本相撲協会やスポーツ庁に要望。面談した芝田山親方が、同協会の理事会などで議論し、対応を協議するとしていた。

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