“大魔王”伊藤美誠 女子初の2年連続3冠!14歳・木原を一蹴「楽しめた」

 「卓球・全日本選手権」(20日、丸善インテックアリーナ大阪)

 女子シングルス決勝が行われ、前回王者の伊藤美誠(18)=スターツ=が、史上最年少で決勝に進出した14歳の木原美悠(エリートアカデミー)を4-1で下して2連覇を果たした。伊藤は女子ダブルス、混合ダブルスを合わせて、女子では史上初となる2年連続での3冠を達成。男子を合わせても1982、83年度の斉藤清以来2例目の快挙となった。準決勝ではダブルスのパートナーである早田ひな(18)=日本生命=と対戦し、4-0でストレート勝ちした。

 18歳の女王は、めったにいない年下の相手も受けて立つことはなかった。決勝戦で果敢に向かって来る木原に、伊藤は「私も負けじと年下と思わず挑戦者の気持ちで臨んだ。気持ちでは負けてなかった」と立ち向かった。自身が平野美宇との「みうみまペア」でワールドツアー・グランドファイナルの女子ダブルスを制したのが14歳の時。喜びよりも「ホッとした」という本音は、若い選手の持つ底知れぬ力を誰より知っているからだろう。

 気合の雄たけびをほとんど上げることがない美誠が、「ハッ!」と声を上げたのは第1ゲーム。「誰とやっても1ゲーム目で流れが変わる。自分も中国人選手とどれだけ差を感じても、1ゲーム目をとれればチャンスがあるかもしれないと思って、小さい頃からやってきた」。その芽は絶対に与えない。強い変化のサーブで相手を崩し、裏をかく多彩な攻撃でほんろう。13-11で勝ちきった。

 2年連続の3冠は、ハードルが高かった。「どの選手も私を倒すという目的でやっている」と研究され尽くす現実を凌駕(りょうが)したのは、強じんな精神力だ。第4ゲームで9-3とリードしながら、8点連取を許してこのゲームを落とした。しかし「いつもなら頭が真っ白になるけど、落ち着いて切り替えられたのは成長」と自己分析。どれほど丸裸にされても「それ(研究される)以上に私が楽しめたということが一番」と確信する。「楽しもうと思っていたら3冠をとれました」とあっけらかんと話す伊藤に、百戦錬磨の男子の覇者、水谷隼も「彼女のメンタルはすごい。アドバイスがほしい」と舌を巻いた。

 目指す東京五輪に向けて勝負がかかる2019年を3冠発進した。「中国人選手に何度も連続して勝てる実力を持つ選手になること」と目標を掲げた美誠。3月からはワールドツアーが始まり、4月は世界選手権(ブダペスト)が待ち受ける。「五輪の選考シーズンは世界ランクが大事。ツアー1戦1戦を楽しんで戦いたい」。その笑顔がある限り、2020年への道は輝いている。

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