紀平V ザギトワ倒した!05年真央以来デビュー年GPファイナル制覇

 「フィギュアスケート・GPファイナル」(8日、バンクーバー)

 女子フリーは、シニア1年目でショートプログラム(SP)首位の紀平梨花(16)=関大KFSC=がフリーも1位の150・61点をマークし、合計点では自己ベストの233・12点で、初出場優勝を果たした。日本勢でGPデビューシーズンでの制覇は2005年の浅田真央以来。平昌五輪女王のアリーナ・ザギトワ(16)=ロシア=が合計226・53点で2位となり、坂本花織(18)=シスメックス=が211・68点で4位。宮原知子(関大)が201・31点で6位だった。

 表彰台のてっぺんに爽やかな笑顔が花開いた。16歳の紀平が偉業達成。「全然想像はしてなかったけど、練習を頑張ってきて良かったと今は思います」。日本勢では05年の浅田真央以来、13年ぶりのシニアデビュー年のGPファイナル勝利。さらに五輪女王ザギトワを上回り、13年の浅田以来5年ぶりに日本人が優勝した。価値ある勝利に「自分の実力を点数に表すことができたのがうれしい」と喜びをかみしめた。

 冒頭のトリプルアクセル(3回転半)は着氷が乱れて両手をついたが、2本目で気持ちを入れ直した。「ミスしても立て直せた。終わった後は本当にうれしい気持ちでした」。演じたフリー曲は「ビューティフル・ストーム」。美しい所作で観衆を引き込むと、まるで嵐のように世界の頂点まで駆け上がった。

 14歳だった16年9月に公式戦でトリプルアクセルを初成功。以降、周囲の注目はいつも演技冒頭に集まった。当時の成功率はまだ5割程度だったが、踏み切り動作に入ると無数のシャッター音が紀平を襲った。「気になって跳べない」。そう漏らしたこともある。

 「気が弱くて引けてしまう」と指導する浜田美栄コーチが指摘していたように、ここ一番での勝負弱さも目立った。素晴らしい演技をする日がある一方で、大ハズレもある。一つのミスを引きずりやすい性格。朝の練習での不調が試合まで気がかりで、そのまま崩れたことも何度もあった。「優勝か10位か」と同コーチも笑うほど心の波が大きかった。

 しかし過去は過去。世界一の座が懸かったここ一番の大勝負。「完璧なノーミスをすれば正直、表彰台に乗れるかなと思っていた」と紀平自身が言うように順位への欲もあった。「緊張も集中に変えられた」。今季、ここまで一戦一戦全力で積み重ねてきたことで築かれた揺るぎない自信が、紀平を支えた。

 振り回され続けてきた“伝家の宝刀”もやっと味方してくれた。「難しかったけど、今はやり続けてきてよかったなと思える」。トリプルアクセルを回避して手堅く点数を取りに行く方法を考えたことももちろんある。しかし選ばなかった。アクセルと共に進んできた快進撃の道。夢である22年北京五輪の頂点へ、ここからが本当の勝負だ。新境地へ、二人三脚の挑戦は続く。

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