貴ノ岩が引退 何度も頭下げ謝罪 元貴乃花親方の質問に…言葉詰まらせ感極まる

 頭を下げ謝罪する貴ノ岩(右)と千賀ノ浦親方(撮影・棚橋慶太)
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 日本相撲協会は7日、冬巡業中の福岡県内で付け人の三段目力士を暴行した幕内貴ノ岩(28)=千賀ノ浦=が責任を取り、同日付で現役を引退したことを発表した。夜、貴ノ岩は都内の同部屋で引退会見を行った。一年前、元日馬富士から暴行を受けた被害者が加害者となる愚行に、10秒以上頭を下げる謝罪を3度も行い悲痛。前師匠の元貴乃花親方の恩を裏切ったことに言葉を詰まらせ、目を潤ませた。

 昨年11月末、モンゴルの先輩、加害者の元日馬富士はいさぎよく引退した。一年後、同じく暴力を振るった貴ノ岩が現役を続けられるはずはなかった。

 前夜に師匠の千賀ノ浦親方(元小結隆三杉)に話し決断。この日午後、協会の聞き取りに引退する意思を伝えた。最も暴力を憎むべき力士が愚行で協会に泥を塗った。厳罰を検討していた協会から慰留もなく、引退が受理されたのは当然だった。

 謝罪に次ぐ謝罪だった。会見の冒頭では、親方とともに約20秒頭を下げた。親方から4日の夜、付け人に暴行した理由は飲むべき薬を付け人が忘れたことと説明された。

 貴ノ岩は「弟弟子に手を上げてしまい、大変つらい思いをさせた」と、両親、ファン、角界関係者らへ謝罪を述べ、再び15秒、頭を下げた。約30分の会見の最後にも師匠と約10秒、低頭。自らの責任、道半ばで相撲界を去る悔いでいっぱいだった。

 この一年、師匠だった元貴乃花親方は協会との対立を深め、秋場所後の今年10月に同親方は協会を退職。貴乃花部屋は消滅した。

 不祥事に揺れ続けた角界は、10月下旬に「暴力決別宣言」を行った。その直後に再び暴力と、時期も最悪だった。

 元貴乃花親方には電話し、引退を告げた。16歳で来日し、18歳で入門。そこからすべてを教わった。かけられた言葉を問われると言葉を詰まらせ、「すいません」と感極まった。「育ててくれた感謝の気持ちと迷惑をかけて申し訳ない」と、悲痛な表情を浮かべた。

 「責任を取る気持ちだった」と何度も繰り返し、「自分の弱さ、自覚のなさ」と後悔。今後に関しては「考えていない」と未定とした。もう一度戻れるならと問われると「また新弟子に戻りたい」と吐露。暴力は取り返しのつかないことを誰より知っていたはずなのに、あまりに情けない。

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