【記者の目】暴力=即解雇 厳罰なければ歯止めはかからない

 日本相撲協会は7日、冬巡業中の福岡県内で付け人の三段目力士を暴行した幕内貴ノ岩(28)=千賀ノ浦=が責任を取り、同日付で現役を引退したことを発表した。夜、貴ノ岩は都内の同部屋で引退会見を行った。一年前、元日馬富士から暴行を受けた被害者が加害者となる愚行に、10秒以上頭を下げる謝罪を3度も行い悲痛。前師匠の元貴乃花親方の恩を裏切ったことに言葉を詰まらせ、目を潤ませた。

  ◇  ◇

 結局は同じ穴のムジナなのか。被害者ではあったが、貴ノ岩の後輩に対する暴力行為は、角界内ではずっと知られてきたこと。驚きと同時に“やはり”との声も聞こえてくる。

 昨年10月の事件、そもそもは先輩への態度が悪い貴ノ岩をとがめ、横綱白鵬が説教したことが発端だった。説教中に携帯を使用したことで元日馬富士が激高し、暴行を加えたもの。のちの調査で、白鵬はこの暴力に関し「愛のムチ」などと発したことが明らかになった。

 今回、貴ノ岩が付け人を暴行した理由は忘れ物をして言い訳をしたこと。後輩をしつける「愛のムチ」の意識だっただろう。

 加害者の元日馬富士が引退して一年後に、被害者が同じ構図の「愛のムチ」を振るい角界を追われる羽目になるとは…。しかも同じく巡業先、貴ノ岩は「ビール1杯」ながら、酒も飲んでいたという。

 暴力根絶に取り組んだこの一年の徒労感は半端ではない。“暴力=即解雇”などの厳罰規定を設けなければ、暴力体質に歯止めなどかからないだろう。(デイリースポーツ・大相撲担当キャップ・荒木司)

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