紀平、日本勢初GPデビュー戦V トリプルアクセル2発で大逆転!「最高の演技」

 「フィギュアスケート・NHK杯」(10日、広島県立総合体育館)

 女子はショートプログラム(SP)で5位だった紀平梨花(16)=関大KFSC=がフリーで大技のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)に2度成功して154・72点で1位となり、合計224・31点で日本勢初のGP初出場優勝を果たした。宮原知子(関大)が合計219・47点で2位となり、3位のエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)とともにシリーズ上位6人によるGPファイナル(12月6~8日・バンクーバー)進出を決めた。三原舞依(シスメックス)は合計204・20点で4位。男子は宇野昌磨(20)=トヨタ自動車=がSP、フリーともに1位の合計276・45点で初制覇し、GP2連勝でファイナル進出を決めた。

 さわやかに吹き込むような新風ではない。力強く猛々しい嵐が、銀盤を吹き抜けた。SP5位から逆転戴冠。浅田真央、羽生結弦らも届かなかった男女通じて日本勢初のGP初出場初優勝の偉業を成し遂げた16歳は「自分の最高の演技。まだ信じられない」と、夢見心地で振り返った。

 圧巻だった。フリー曲「ビューティフルストーム」にのり、冒頭のトリプルアクセル-3回転トーループを軽やかに成功させると、続く単発のトリプルアクセルも力強く降り立った。それぞれ出来栄え点で大幅な加点を引き出す完璧な内容で完遂し、一気に観衆をひきこんだ。16歳の少女を中心に、歓声が渦となっていく。渾身(こんしん)の4分間を終えフィニッシュすると、思わず両拳を握った。「ガッツポーズせずにはいられなかった」-。

 こだわりが生んだ快挙だった。伊藤みどり、真央ら歴代のエースが受け継いできた“伝家の宝刀”トリプルアクセル。「真央ちゃん」に憧れ、自身も女子史上7人目の成功者となり、代名詞にもなった大技だが、SPでは転倒した。朝の練習では、計16度跳んで確認。動画で過去のよかったジャンプと何度も何度も比較しながら、早くなっていたタイミングを修正した。仮に着地が決められそうでも、踏み切りが悪いと感じればわざと転倒した。「このジャンプはダメ!ということを体に染みこませた」。身を削りながら磨き上げた宝刀は、ここ一番で最高の輝きを放った。

 フリー、総得点とも世界2位の得点で、既に世界の頂点が狙えるポテンシャルを秘めていることを示してみせた。次戦はフランス杯。GPファイナル進出、そして日本勢では真央以来のGPファイナル初出場初優勝の期待も膨らむ。「さらに上を目指したい」。屈託のない笑顔がニューヒロインの誕生を告げた。見る者をひきつけてやまない3回転半を巡るシンデレラストーリーが、新たに幕を開けた。

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