“氷上の哲学者”町田樹 プロ引退真意語る「夢は大学教員」、語録止まらず

 10月6日のアイスショーをもってプロスケーター引退を表明した、14年ソチ五輪代表で“氷上の哲学者”こと町田樹氏が13日、都内で開幕するプリンスアイスワールド東京公演を前に取材に応じ、引退に至った経緯を語った。

 引退後、早大大学院生とプロスケーターを両立させてきたが「両立できないようならいつでも辞めるつもりだった」。この4月から慶大と法大で非常勤講師として務めはじめ、博士号取得も目指していく中で「僕の夢は大学教員。教授?そうですね。この辺でキャリアを大学院1本に絞って頑張っていこうと思った」という。

 また二足のわらじを履く中で、1つ確信できたことがあるという。「フィギュアスケートという表現は舞踊の1ジャンルとして成立しうると確信した。だから晴れやかに引退できる」。競技者引退後も3部作の「ドン・キホーテ」や、約8分の「ボレロ」など毎年大作を発表してきたが「バレエ、ヒップホップという中の1つにフィギュアスケートが入る。高速での移動、同時ポジションでの移動など、フィギュアでしか、氷の上でしかできない表現もある」と、フィギュアという競技の可能性に確信が持てたことも、引退に至るきっかけだったことを明かした。

 10月以降は氷の上でパフォーマンスをすることはないが、研究者を目指す中でフィギュアスケートには携わっていく意向で「サヨナラは言いません。パフォーマーとしては完全に引退しますが、今後は研究者として何らかの形で必ずフィギュアスケートに貢献していく」と、誓った。

 「町田樹にとって、フィギュアスケートとは」と聞かれると、「(この短い時間で答えるのは)酷ですね」と笑いながら「3歳からスケートを始めて、今は28歳。アラサーです。間違いなく、25年氷の上に乗ってきて、今まで私にとってフィギュアはアイデンティティーそのものだった。これまで『町田樹-フィギュアスケートはニアリーイコールゼロ』だと言ってきました。それだけアイデンティティーだった。大学院に入って、イコールの先の数字を大きくしようと思ってやってきた。今はどんどんイコールの先の数字が大きくなってきている。今後は広い視野を持って、フィギュアと向き合っていきたい」と、“町田語録”全開で語り尽くした。

 この日、ラスト演技となる10月6日に行われるジャパンオープンと、カーニバルオンアイスで披露するプログラムが主催者から発表された。それぞれこの大会に向けて作り上げている新作で、ゲストスケーターとして滑るジャパンオープンでは「そこに音楽がある限り」を、カーニバルオンアイスでは「人間の条件」を滑る。モットーである“ティムシェル(自分の道は自分で切り開く)”な生き方を貫き続ける男の正真正銘の“ラストダンス”から目が離せない。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス